病理学会中部支部交見会

前立腺癌検体の取り扱い

都築先生の講演より

T stage,=病期は重要な予後因子である。CAP Category I

被膜侵襲, 断端浸潤の判定

  • 前立腺には真の生物学的な被膜は存在せず, 周囲の薄い線維性結合組織を「被膜」とみなしている.
    結合組織内にdesmoplasticな変化を認める場合は被膜外浸潤と判定できるが, まれであり病理学的被膜外侵襲の判定は難しい。
  • 脂肪組織や神経血管束に腫瘍細胞が認められれば被膜外侵襲ありの重要な所見。ただし前立腺組織内に脂肪組織が存在することがあるので注意が必要である。
  • 骨格筋内への腫瘍細胞浸潤のみでは被膜外浸潤ありと言えない。尿道, 尖部近傍前立腺内では骨格筋が存在するため。
  • 断端陽性は尖部断端(anterior)が最多。ここが陽性だと他の部分でも越えていることが多い。被膜外侵襲部位は具体的に記載する必要がある。
  • 術前にホルモン治療をした症例は断端陽性の欧米クライテリアが使えない
    前立腺癌はあまりスキップ浸潤しない, 手術前にホルモン治療をすると病変の中抜けが出てきて断端の評価ができなくなる。断端+は再発率が高く重要な情報であるが,この場合, 術前にホルモン治療をしない欧米の診断クライテリアは使えないことを臨床医に報告しなければならない。
  • Incision(Nerve sparing prostatectomy=神経温存前立腺全摘術)の症例
    被膜より内部で前立腺を切除, うちら側で切ってしまう方法。切り込んだ症例の断端+のとき, pT2かpT3か統一の意見はない。
    断端陽性のinsicion症例は断端陰性のpT2, pT3aより予後が悪い*1ので通常のpT2とは診断しない。2009年のAJCCで「pT2+」が正式に採用された。

精嚢侵襲

  • 精嚢のどこに浸潤すればsv+なのか?---> 筋層, 上皮, 周囲どこに浸潤してもsv+である
  • 精嚢浸潤を認める症例は高い再発率を示す。
  • 輸精管への浸潤は前立腺内病変であり, pT2と分類すべきで, T3bにはしないこと. 針生検では精嚢か輸精管なのかがわからない。臨床が手術を最初から適応なしとしてしまうので,コメントをしないほうがよい。

膀胱浸潤

  • AJCC/ UICCのT分類ではpT4a
  • 尿道への浸潤はpT3bであり, 膀胱浸潤をpT4a, 独立した予後因子とするのは疑問
  • 新WHO分類では膀胱浸潤をpT3bとして扱うことを推奨している。

*1 J.Urol 172: 119-123, J.Urol 169: 2142-2146

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:21 (1446d)