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第19回中部支部スライドセミナー

中部支部の正規ホームページは-->こちら 日本病理学会中部支部

2016年3月12日(土) 浜松市中区旭町11-1 浜松プレスタワー 17F

世話人 磐田市立総合病院病理診断科 谷岡 書彦

テーマ 「骨髄の病理」

9;00- 10:00 標本閲覧 15F

教育講演

  • 講演1. 10:00- 11:00 「骨髄不全の診断」

    埼玉医科大学国際医療センター造血器腫瘍科 松田晃先生

  • 講演2. 11:00- 12:00 「造血器腫瘍の染色体異常」

    聖マリアンナ医科大学血液腫瘍内科 三浦偉久男先生

  • 講演3. 13:00-14:00 「骨髄病理診断のアルゴリズム」

    名古屋第一赤十字病院 伊藤雅文先生

症例検討会 S2016-1〜S2016-5

14:40-16:25

  • Case S2016-1 磐田市立総合病院病理診断科 大西一平ほか
  • Case S2016-2 松波総合病院 濱保英樹
  • Case S2016-3 金沢医科大学病院 相川あかね, ほか
  • Case S2016-4 一宮市立市民病院 露木琢司
  • Case S2016-5 静岡市立静岡病院 江河勇樹ほか
 

磐田市立総合病院で行っているASD-Giemsa載せガラス染色法のページです。--> ASD-Giemsa染色

Disuccusion/ comments

討論を聴いた管理人のまとめです。内容が変わっている可能性があります

S2016-case02: speaker's Dx: chronic neutrophilic leukemia

commentator01:

  • CNLは除外診断が一番大事になります。やはり私としては, 染色体になにか異常がなかったかを聞きたいですね。
    というのも, ブスルファンが長いですね。ブスルファンは突然変異原性が高い、だから今はつかわないんですね。
    5-6年は飲んでいますね。そうすると,2000mgはいっている。いわゆるセカンダリの異常がでて来てもおかしくない背景です。bcr-ablはこういうのにはまずでないと思いますが, ほかの染色体異常はあったのですか?
     
  • speaker: 46,XX[20/20]です。
     
  • commentator01:
    そうすると次は・・・CNLは意外とmyelomaに合併したりするんですね。MGUSみたいな, Mタンパク血症はなかったでしょうか。
     
  • speaker:
    Mタンパクは調べていません。過粘稠があると腎ともつながるので調べる必要があると思います。
     
  • commentator01:
    あとは先生も言われた, secondaryのG-CSFが上がっている状況だとこうなりやすいんですね。保険を考えなければPETを撮ってみたい。あれはとても便利な検査ですね。
    MDSかMPNかと聞かれたら、あの程度の異形成ではMPNです。MDSではないと思います。
     
  • それはそれでよいのですが, スライドにあげられた, CNLの診断基準は, 実に, もやっとした診断基準ですね。
    なんて言うんでしょう, これがあればこうなんだというものが一つもないですね。つまりは, 一時的にこの病名(CNL)をつけておても, 常に違うかもしれないという発想を持っておかないといけない。

commentator02:

  • CNLはcommentator01先生がおっしゃったように除外診断で, G-CSF産生腫瘍との鑑別はもちろん大事なんですが, G-CSF産生腫瘍で今まで経験してきた症例はcellularityはあまり高くないですよ。やっぱり反応性なので末梢血顆粒球がG-CSFではバアと増えるんだけれど骨髄は抑制的に働くので, 末梢血にたとえば, 8-9万の好中球があっても、骨髄は意外とcellularityが高くないので, これは変だなと思えるので, celluralityがnormoからややhyperくらいで白血球が8とか9万あった時はやはり, G-CSFを疑わなきゃならないですね。
     
  • この症例はcellularityが非常に高くて, 好中球ドミナントなので骨髄増殖性腫瘍の中でもCMLやCNLあたりの鑑別が必要になる。最近CNLには, CSF3Rのpoint mutationが同定されて,たぶん次の,WHO2016のWHOの改訂ではCNLの診断基準にはCSF3Rのpoint mutationがはいると思うんですが, そのあとに出た論文で, もうひとつ意味があるのは, CNLは, JAK-STATシグナリングパスウェイの異常によるので,基本的にJAK2阻害剤が有用であるという論文が出てきています。 対費用効果は別として, CSF3Rのmutationが確定されたら、適応にはなっていないけれど治療としてJAK2阻害剤が一つの治療方法として出てくるかもしれませんね。こういう症例には今後, 確定診断が大事になってくると思います。

S2016-case03; speaker's Dx: AML with multilineage dysplasia > acute megakaryoblastic leukemia (AML-M7)

commentator01:

  • ふつう症例検討会は最後はすっきりするんですが・・・(笑). すごいなあとおもった。
  • 最初の骨髄穿刺はdry tapでした ?

Speaker:

  • dry tapと記載されたのは2回目のこの生検です。

commentator01:

  • 血球形態は?ありますか?塗抹・・・?

speaker:

  • あるのですがスライドはつくっていません。

commentator01:

  • 検査データをみせてください。AST、ALT17, 13, それに比べてLDHは355と上がってますよね。ということは局所的なマーカはあがらずに全身の細胞がもっているLDHがあがっている・・・まず最初に疑うのは確かにhemophagoなんですね。この段階では。CRPも確かにあがっている。hemophagoというと成人の場合は第一にNK 2番目にTのリンパ腫, BだとIVL, それで最初みたときはリンパ腫と思ったんですが違うんですね。megakaryoはまったく考えていなかった。振り返ると, ここ5-6年全く診断していないですね。なんでこれでmegakaryを疑ったんですか?

speaker:

  • FCMの結果などから・・・

commentator01:

  • FCMちょっと出してください。CD4がでて, CD13, CD33だから単球要素でもおかしくない。急性の骨髄性白血病。CD4は単球系に出てもおかしくないんで, これだったらAMLかなあ, もう一回やろうねえと・・・。すみません、まったくついていけなかったです, わたしの方が。Mgkはまったく考えていませんでした。えっメガカリ?っていう感じです。

speaker:

  • 逆に根拠としたのはこのFCMくらいしかないので, 診断に不安はあります。

commentator01:

  • これは骨髄がきっちりとれた検体ではないでしょうね。FCMのゲーティングを見ると細胞がほとんどないです。私はこのような検体で診断するのは危ないと思います。、話がそれますが, いろんな検討会をみてて, 変なAPLとして出てくるんですがたいていは, 検体が凝固しているんです。ほんとうにマイナーなところで診断を議論してしまっているんですね.ちゃんととれた検体でないと, こういう検体で議論するのは危なくて, こういう検体しかなかったら, これはもう病理の先生にがんばっていただくしかない。
  • 最後はagreeします。megakary、えっ--?! という感じです。予想外の診断結果でびっくりしました。
     

commentator02:

  • 難しいです。亡くなっているところまで経過が追える点でこれだけの期間で進行するのは,急性白血病をベースに考えなければいけなくて、しかもAMLとするとMDSベースというのは考えにくくて, 最初から急性白血病のパターンであったと思いました。
  • Megakaryoかどうか, ということですが, 31陽性の細胞と成熟Mgkのあいだにdiscrepancyがあり過ぎるんです。ぱっとみて形態的にMgkとわかる細胞がいるんですが, CD31陽性の細胞は本当にblastなんですね。
  • さっきの講演でimmature megakaryoblastic typeとmature blastic typeの2つを出したんですが 実は, 成人のAMKL,M7というのははほとんどないので, 小児例なのでほんとうに特殊なんですが, immature megakaryoblatic typeは, ほとんど成熟Mgkがでない, ほとんど芽球なんです. マーカだけでしか証明できない。
  • 一方, mature megakaryoblastic typeというのは成熟Mgkから連続的にblastまで行くんです。 中間段階があるんですね。最初に気がつくのは, 中間段階のやや大きめの芽球様の成熟傾向を示すMgkがあることです。この症例にはなかったんですよね。それで, M7じゃないんじゃないかなというのが印象でした。
  • マーカはCD34が染まってなくて,MPOも染まっていないんだけれどp53陽性細胞がでていて背景がなんとなく変なんだけれど,たしかにMDSの芽球転化のなかにこういう変な芽球が増えるやつがあるんですが, まったく前にhistoryがなくて, これだけの期間で, どんとすすむMDS derivedのAMLってあんまりないので, 一元的にAMLの範疇で考えた方が良いと思います。
  • AML with myelodysplastic changeというのは 定義が正しいかどうかは別にして, 血球系統の50%以上の細胞に異形があるんです。細胞の2つに1つが異形成をしめし、ものすごく強い異形成なんです。そこまで異形成があるかというと, Mgkは成熟Mgkがほとんどだし, microMgkもないので異形成はとりにくい。myeloidは単芽球系様の芽球が増えていて, 赤芽球系は血島形成は悪いけれどglycophorinで見る限り, 大きさはそろっているし, あまり異形成っぽくないですね。そうすると今の定義のAML with MRCにもちょっとあわないかなと思います。progressionしていく課程からすれはlineageはわからないけれど,急性白血病でいいんじゃないかなと思います. 骨髄がfullになったから髄外浸潤してリンパ洞のなかにMgkが出てきたりするのは急性白血病の剖検例ではよくあることです。
  • M7の診断は成人の場合は, とても慎重にする必要があります。疑うことはとても大事で, 疑わなければ診断できないけれど, よっぽど確たる証拠を得ないと確定診断は言いにくいと思います。

speaker:

  • AMLの背景の細胞というのは、反応性の細胞ということでしょうか。

commentator02:

  • MDSとはいいにくいというのが正直な印象です。Mgkがあまりにも成熟しているんですよ。もっとへんてこりんな細胞や, microMgkとかが出てきてほしいんです。免疫染色でも大型の成熟したMgkがそまっています。転座型の遺伝子異常をもつ白血病でないのは事実なんだけれど, いわゆるMDSからでてくる急性白血病とは違うんじゃないかなということです。

floar01:

  • AMLとすると, どこに分類すればよいですか?

commentator02:

  • これも難しい質問なんですが・・・ MPOがそまっていないんでM0かM1になっちゃうんですが, M0やM1の芽球にしては細胞質が広いんですね。だから逆にM7なんかを疑ったりするですが, monoの系統を考えたほうがよいのかなと思います。塊をつくっているし, 増殖してきたときに他の髄外浸潤のところのパターンが変なMgkが出てきたりするので, space occupyingな性格の強い急性白血病というとmonoが一番強いと思います。
  • lysozymeなんかを染められたらどうでしょうか。monoの基本的なマーカはlysozymeで, CD68(PGM-1)やCD163は分化しているmonoの抗体なのでこの場合はでないと思います。lysozymeかCD4が適当かと思いますがちょっとわかりません。

floarからMgkは核異型があるのではないか、Mgkの形態について教えてほしいと質問。(floar02)

commentator02:

  • 成熟Mgkに核の異型があったりするんですが, やっぱり細胞質が豊かぎるんですね。もっと細胞質が狭くなって核異形が出てきてほしいんですね。確かに核異型あるんだけど, これだけ異型がある細胞があるんだったら, もっと小さなMgkがあっていいような気がするんです。これはMgkだろ、だけど小さすぎるというものがあっていいんですね。芽球と成熟Mgkの間にギャップがあるんです。
  • 小児のM7の経験からいうとGATA1mutation*1がdriverになっているので, 小児のM7にはGATA1 mutationのないものはないので, 成人の場合もGATA1 mutationの有無で分けて, mutationがあれば堂々とM7と言っていいのですが,成人の症例が少ないのでまだそこまで調べられてはいません。本例のような場合はGATA1 mutationまでみて, 変異があればM7といって良いとおもいます。

floar03:

  • この症例は, 昔でいう急性骨髄線維症の概念にぴったりと思うんですが, 今はつかわないのでしょうか。慢性の骨髄線維症に似た組織像で急に死んでしまって剖検になる。幼弱なMgkに分化する傾向があると教わったのですが。

commentator02:

  • M7もともとは, acute myeloid metaplasia, agnogenic metaplasia, acute myeloidfibrosis いろんな名前でよばれて来たのがM7に統一されたのですが, やはりmegakaryoなんです。Mgkが増えることと,芽球からシリアルに成熟細胞まで連続性が追えないとないといけないんですね。この例は連続性がないのです。それがひっかかります。
    髄外浸潤がつよかったりすることはacute fibrosisでも知られた所見ですが, 普通の白血病でもおこることなのでそれだけではいえないと思います。

*1  Wechsler J. et al, Acquired mutations in GATA1 in the megakaryoblastic leukemia of Down syndrome.Nat Genet. 2002 Sep;32(1):148-52.

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Last-modified: 2016-03-19 (土) 07:55:33 (942d)