リンク;Enteropathy-associated T-cell lymphoma

消化管の粘膜表面積テニスコート1.5面分で皮膚表面積の200倍以上にもなります。

 

粘膜リンパ系

  • 消化管関連リンパ組織(gut-associated lymphoid tissue, GALT)
    • パイエル板,孤立リンパ小節, 虫垂, 腸間膜リンパ小節のようにリンパ小節を形成するもの
    • 粘膜固有層, 粘膜上皮細胞間に散在分布する免疫担当細胞群
      • 粘膜固有層リンパ球 Lamina propria lymphocytes (LPLs)
      • 上皮内リンパ球 Intraepithelial lymphocytes (IELs)
  • 呼吸器粘膜:鼻咽頭関連リンパ組織(nasopharyngeal-associated lymphoid tissue NALT), 気管関連リンパ組織(bronchus-associated lymphoid tissue BALT)
  • この他,粘膜組織では直接接触する生体外環境からの侵襲抗原により類似したリンパ組織が形成される
  • これらは粘膜関連リンパ組織(Mucosa-associated lymphoid tissue MALT)と総称され相互に密接に連携して粘膜免疫反応を誘導,粘膜だけでなく全身の免疫反応制御にかかわっている

粘膜関連リンパ組織(Mucosa-associated lymphoid tissue MALT)

  • 皮膜をもたないリンパ組織塊が消化管,気道,および泌尿生殖器の粘膜固有層と粘膜下組織に認められる
  • リンパ球が胚中心をもつ弧在または集合リンパ小節を形成している
  • 扁桃は口蓋扁桃,咽頭扁桃(アデノイド),舌扁桃の3種がありワルダイエル環を形成する
  • 扁桃は大量のリンパ球が存在し大型の二次小節をもちその間のT細胞領域はHEV(高内皮細静脈)を備えている
  • 腸粘膜固有層にもリンパ組織の集まりがある.一部は粘膜下組織にも入っている
  • 腸リンパ組織は孤立小節および集合小節として虫垂に認められる
  • 虫垂のリンパ組織は加齢により退縮を示す.その他の部位の粘膜リンパ装置も同じ
  • 下部回腸にはパイエル板がある

パイエル板

腸管管腔内抗原に反応して,それに対する特異的なIgA抗体を産生する形質細胞前駆B細胞の分化成熟を司るリンパ装置で粘膜免疫機構を誘導する主要な装置です

pyerpatch02.png
  • 1677年にPeyerが粘膜隆起としてパイエル板を記述する
  • IgA産生細胞前駆細胞の密な集合体として報告(Craig, Cebra1971年)
  • 組織学的には腸管粘膜固有層内の疎性結合組織内に形成されたリンパ小節の集合体でヒト小腸粘膜内に無数に分布する1個から数個のリンパ小節からなる孤立リンパ小節と基本的に同じ構造
  • 形質細胞への最終分化と免疫グロブリン産生は粘膜上皮細胞と連携のもと粘膜固有層でおこなわれる。
    • リンパ節とは異なり線維性皮膜, 輸入リンパ管はない
    • 形質細胞への分化の場である髄索や髄索を取り巻く洞構造もない
      パイエル板は免疫誘導を専門とする組織できわめて能率的な免疫学的構造をしている

PCV, FDC, IDCに発現している接着因子
Post-capillary venules(PCV): ICAM-I, HLA-classII, VCAM-1, P-selectin, MAdCAM-1
FDC: ICAM-I, HLA-classII, VCAM-1
IDC: ICAM-I, HLA-classII, S-100

円柱上皮細胞(follicle-associated epithelium:FAE)

パイエル板は特殊に分化した一層の円柱上皮細胞(follicle-associated epithelium:FAE)により被覆されて腸管内腔と境界されている

  • FAEは微絨毛の発達した絨毛上皮細胞M細胞の2種類の細胞から構成される
  • M細胞
Mcell.png
  • 活発な抗原補足取り込み能力を有する
  • 管腔側に短い細胞突起(microfold)が疎に配列細胞膜に沿って多数の貪食空胞が形成されている
  • 細胞質は膜状に薄く,その嵌凹部に1-数個のT, Bリンパ球,マクロファージ, 指状嵌入細胞(interdigitating cell: IDC)に相当する樹状細胞が包み込まれています.
  • M細胞は腺窩から分化成熟する上皮細胞なのにマクロファージと同様抗原取り込み機能を有しMHCクラス狭蓋兇鯣現している
  • 細胞質リソソームの発達は悪く抗原プロセッシングや抗原提示機能を有しているかには議論がある
  • M細胞の本来の機能は取り込んだ腸内抗原をほとんど修飾することなくマクロファージや樹状細胞に伝達することである
  • M細胞表層の粘液層は周囲絨毛細胞に比べ非常に薄い
  • この薄い粘液層にはウイルス・細菌表面のレクチン,レクチン様タンパク質に対する受容体として機能する糖鎖構造(glycoconjugate)が存在している.
  • M細胞粘液層糖鎖構造はエイズウイルスなど特定の病原微生物の感染経路にもなることがある

リンパ小節

  • パイエル板を被覆するFAEの下層に細胞分布の疎な粘膜固有層に相当する円蓋部を隔ててリンパ小節が存在する
  • リンパ小節中央はIgA産生形質細胞の前駆細胞であるsIgA陽性B細胞の集簇領域である濾胞域で,しばしば胚中心を形成しておりメモリーB細胞産生をおこなっている
  • 濾胞域にはB細胞の他,成熟型T細胞, 濾胞性樹状細胞, 貪食能の活発なマクロファージが混在する
  • 濾胞域外側や濾胞間にはT細胞の集簇する傍濾胞域(parafollicular area)がある
  • FDCは抗原補足能にすぐれた表面構造をしており, MHCクラスの他,CD40, CD54, CD106などの細胞接着因子補助刺激分子であるB7抗原(CD80/86)や補体レセプタ(CR2, CD21)を発現する.
  • 濾胞域外側や濾胞間にはT細胞の集簇する傍濾胞域(parafollicular area)がある

高内皮細静脈(high endothelial venules:HEV)

  • リンパ球の交通路として重要な働きをする=リンパ節に来たリンパ球をリンパ節内に確実に取り込む工夫が存在する
  • HEVの内張りをする内皮細胞は立方型をしており, 通常細静脈の扁平な内皮にはない接着因子を発現する活性化細胞である
    • 免疫グロブリンスーパーファミリ−のICAM-1(CD54), ICAM-2(CD102), VCAM(CD106)
    • セレクチンファミリ−のE-セレクチン(ELAM-1;CD62E), P-セレクチン(CD62P)
    • P-セレクチンは内皮細胞のワイベル・パラーデ小体に蓄えられ細胞活性化に伴い急速に細胞表面に移動する
  • この内皮細胞活性化の機構の一つは局所で産生されるIFNγ, IL-1, TNFなどのサイトカインによる
  • CD44は全ての白血球に発現し,リンパ球をHEVへ接着させる
  • 内皮細胞に発現する器官特異的な住所分子(adressinと呼ばれる)がリンパ球・内皮細胞間の相互作用に重要な役割を果たす
  • 腸組織の血管内皮はMadCAM-1を発現する
  • 腸以外の組織の血管内皮はVCAM-1を発現している
  • MadCAM-1を発現する腸パイエル板の高内皮細静脈はα4β7インテグリンが内皮とリンパ球接着に重要な役割を果たす。
  • B7遺伝子ノックアウトマウスでは腸管付属リンパ組織の形成が著しく阻害される

メモリT細胞とB細胞のクロスリンキング(crosslinking)

  • 濾胞域T細胞はTCRとFDC膜上のMHCクラス曲子と抗原エピトープ複合体との会合により活性化される(CD4+, CD40L+, T細胞)
  • B細胞のCD40と抗原刺激を受けて活性化されたT細胞(メモリーT細胞)のCD40L(L=ligand)が結合する
  • B細胞は増殖,クラススイッチ(sIgM,D→sIgA)が促進されてアポトーシスは抑制される
  • このB細胞はIgV領域の体細胞変異をともなったcentroblastとなる
  • FDC上の抗原エピトープに親和性のcentroblastが選択され増殖し,親和性のないクローンはアポトーシスを起こしてtindible body macrophageに貪食され処理される
  • B細胞のクラススイッチにはCD40-CD40Lの結合だけではなく粘膜系T細胞に特異的パターンで産生されたIL-4, IL-10, TGF-βなどのサイトカインが関与する
  • クラススイッチされたB細胞はパイエル板から区域(腸間膜)リンパ節, 胸管, 血液をへて腸管の傍濾胞領域に帰巣する
  • ホーミングは傍濾胞領域のPCV(post-capillary venules)とよばれる特殊に分化した細静脈でおこなわれる
  • PVC内皮はHEVであり, MHCクラス曲子の他,以下のような分子を発現する
    • CD54(ICAM-1)---B細胞上のCD11a/18のcounter part
    • CD106(VCAM-1)---CD49α/29(lymphocyte function associated antigen-1; LFA-1)のcounter part
    • Pセレクチン(CD62P)---メモリT細胞上のsialyl LewisXおよびα糖鎖抗原と結合する
    • MadCAM-1(mucosal adressin cell adhesion molecule-1)粘膜系リンパ球のホーミングレセプタである細胞接着因子α1β7と作用してローリングをおこす
    • PCV内皮膜上のヒアルロン酸---CD44を介して結合に関与

粘膜リンパ系のリンパ球循環

  • 粘膜のリンパ球は粘膜付属リンパ系の間を再循環する
  • パイエル板で抗原刺激を受けたリンパ球は区域付属リンパ節を経て胸管より血流に入りまた粘膜固有層に戻ってくる
  • 粘膜リンパ系の特異な再循環は粘膜後毛細管静脈内皮に発現する,リンパ節HEVにはない接着因子を認識するホーミング分子をもったリンパ球によりおこなわれる
  • 腸組織の血管内皮はMadCAM-1を発現する
  • 腸以外の組織の血管内皮はVCAM-1を発現している
  • MadCAM-1を発現する腸パイエル板の高内皮細静脈はα4β7インテグリンが内皮とリンパ球接着に重要な役割を果たす。
  • B7遺伝子ノックアウトマウスでは腸管付属リンパ組織の形成が著しく阻害される
  • このメカニズムである粘膜領域の抗原刺激は粘膜付属リンパ組織に限られた抗体の反応をおこす

添付ファイル: fileMcell.png 1541件 [詳細] filepyerpatch02.png 6579件 [詳細]

トップ   編集 凍結解除 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:21 (1843d)