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非結核性抗酸菌症

肺非結核性抗酸菌症*1

現在日本の本症罹患率は人口10万対6以上と推定され国際的にも高いレベルにある。

病型の変化:

  • 中高年の女性に特別な先行呼吸器疾患なく中葉舌区領域の限局性気管支拡張症と広い領域に散布性結節性病変を示す病型が現在増加している(nodular bronchiectasisと呼ばれる)
  • 以前は陳旧性肺結核病巣に寄生的成立をした病変が多かった。

起因菌

  • 大部分(約8割を占める)がMycobacterium avium complex (MAC)次いでMycobacterium kansasiiが多い
  • MACは環境中に普遍的に存在しとくに温水中に多くみられる
  • HIV感染者でCD4陽性細胞数50/μl以下では高頻度に全身散布性感染症をきたす
  • 日和見感染症的性格が強い菌であるのに肺感染症として最近増加している原因は不明
  • 結核菌と異なり通常個体では乳幼児を含め人-人伝染は認められていない

中葉舌区型肺MAC症

  • 初発症状は慢性の咳・痰, 意外に血痰の頻度が高い
  • 左右いずれかの心辺縁でかつ横隔膜付近のシルエットサイン陽性小斑状影を見つけられることがある
  • CTではS5先端部限局性均等影を伴う限局性気管支拡張が通常みられる。多くの場合S4, S6またはS3領域に多数の小結節影が散布するが単純X-pでの確認は困難である。
  • 喀痰抗酸菌検査で非結核性抗酸菌が陽性であれば確診であるが本菌は環境中にも多く存在するため同一菌種複数回の確認が国際的診断基準で求められている
  • 菌種同定は核酸増幅法(アンプリコア法,MTD法, DDH法など)

抗菌療法

  • M.kansasiiを除いて同じ抗酸菌症なのに結核症化学療法とはかなり異なっている事に注意
  • MAC症には現行のいかなる薬剤あるいはその組み合わせでも殺菌的効果を期待できず,また結核菌用の感受性検査と臨床効果はまったく一致しない。
  • 現行のMAC症プロトコールはHIV感染合併時の散布性MAC症治療のEvidenceに由来している
    • クラリスロマイシン(CAM)600mg/day 1x +リファンピシン(RFP)+エタンブトール(EB)併用内服
  • 重症時はストレプトマイシン(SM)またはカナマイシン(KM)筋注併用--15mg/kgで聴覚障害に注意する
  • 治療期間は菌陰性後1年とガイドラインに記載されているがエビデンスの確立はなく実際はより長期間の投薬が必要。
  • 根治的内科治療がないので肺MAC症治療は若年で病巣が一側一葉に限局するときは外科的切除を当初から考慮する。

肺非結核性抗酸菌症の診断基準2008,

日本結核病学会・日本呼吸器学会基準のWeb--- 肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針-2008年4月---日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会

肺MAC症の症例

症例01---空洞を伴った腫瘤を形成する肺MAC症 磐田市立総合病院症例 60歳代女性

皮膚非結核性抗酸菌症

症例01---皮膚Mycobacterium Chelonae感染(218回SPS- case06 静岡県立総合病院病理 室先生)


*1 倉島篤行 日本医事新報2007;No4321 p105

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:21 (1395d)