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注意: このページは管理人の個人的まとめページです。正式な東京骨髄病理研究会のWeb pageではありません。

100例のMPN症例スライドをみる会---第10回東京骨髄病理研究会

2017年6月3日(土), 4日(日) 東海大学医学部伊勢原校舎組織実習室

世話人: 東海大学医学部病理学 中村直哉先生, 症例提供, 解説:名古屋第一赤十字病院 伊藤雅文先生.

PV, ET, PMF(prefibrotic), PMF, MPN blastic transformation, MDS/MPN with RS-T, atypical CML, MDSやlymphomaのfibrosis合併症例, 非腫瘍性/反応性増殖など100例のスライドを1例2分で検鏡。

翌日, 解答をもとに1例1分で見直し, その後, いくつかの症例を伊藤先生の解説で振り返る。全部で400枚ほどのスライドを一心にみる, しんどいけれども充実した会でした。

[ 3日夜は, 厚木市の飯山温泉で宿泊、懇親会でした。温泉は大変よいお湯で懇親会も楽しかった。1時ころまで飲んでました。]

 

WHO2016 BCR-ABL1 陰性MPNの診断基準変更点

  • JAK2, MPL変異に加えてCALR変異が診断基準に加えられた.
     
  • 原発性骨髄線維症(PMF), 真性多血症(PV), 本態性血小板血症(ET)の骨髄生検所見が診断基準大項目に追加された.
     
    • 骨髄病理診断が第一に重要になりMPN診断において病理医の役割が増加. --この100例を見る会が開かれた目的のひとつ. (ほかの目的は 温泉と飲み会??)
       
  • PVの診断基準が男性 Hb>16.5g/dl, 女性 Hb>16.0g/dlに引き下げられた.
     
    • 隠れPV--瀉血などによりHbが下がっているを拾い出す目的.
       
  • 慢性好中球性白血病の診断基準にCSF3R T618Iあるいは他のCSF3R変異が取り入れられた.
     

MPN診断のTips

注意: 伊藤先生の解説をもとにしてまとめていますが, 管理人の意見や, 見解もはいっており, 伊藤先生の説明とは必ずしも一致していないことがあります。

green-sq.gif ETと, PMF-prefibroticを厳格に区別し診断する.

 ETは長期間にわたりstableでindolentな経過をとることが多い. PMF-prefibroticは, 1年でfibrosisが急速にすすむ例もみられ, この2つを厳格に診断することが患者さんのベネフィットとなる.

 骨髄生検の線維化を評価するには鍍銀染色, Azan染色, Massontrichrome染色が用いられる. Massontrichromeが推奨されているのは自動染色のラインに乗せられるからで, 鍍銀染色がきれいに染められる施設ならば鍍銀でかまわない. 海外では鍍銀をうまく染められるテクニシャンがいなくなっている. (ドイツの染色と比べても日本人のテクニックは抜きんでてすぐれています。骨髄生検標本などガタガタでわずかに見える部分で診断していました。Japan über alles です. Aschoff Hausの腎病理の教授は, 私の持っていた腎生検標本をみて, 日本ではこんなにきれいな組織で診断できるのか!と驚いていました。20年前の話です.)

 Massontrichrome染色でもAzan染色でもどちらでも遜色はない.

 鍍銀染色では, 赤い膠原線維黒く染まる弾性線維を分別できることがキモ. 核染色に〇〇をもちいると膠原線維が黒くなってしまうことがあり判断を誤る。核染色はなくてよい

 細網線維は膠原線維の亜型であるCollagen type IIIと考えられている.未熟な膠原線維. 遺伝子はCOL3A.

 線維化はgrade0/ 1なのか, grade2/ 3なのか, の2つを区別する, 0か1か, または2か3かはあまり問題ではない。

 線維化の評価は皮質骨周囲以外の造血領域で評価することが定められた.

 
silver03OK.jpg(558.8KB)鍍銀染色で赤色またはレンガ色にみえる膠原線維が増加している。
細く黒く染色された線維は弾性線維.
鍍銀染色サムネイルのクリックで大きな画像がみられます
 

WHO分類による骨髄線維化のグレード分類

  • MF-0 細網線維は散在性にあるが、交差像は見られない。正常骨髄に相当。
     
  • MF-1 主として血管周囲に、細網線維は多くの交差像を伴い、粗いネットワークを形成する。
     
  • MF-2 細網線維が高度な交差像を伴いびまん性かつ高密度に増生し、限局性に膠原線維の束状増生(赤く見える)および/または巣状の骨硬化所見を認める
     
  • MF-3 細網線維が高度な交差像を伴いびまん性かつ高密度に増生し、膠原線維の密な線維束形成を認め、通常骨硬化所見を伴う

骨硬化を示す骨梁にはラメラ構造が認められる.

 

green-sq.gif ETと, PMFを鑑別するTips

 ET vs PMF prefibrotic phaseの鑑別診断に病理が介入することがWHOにより推奨されている.

white-sq.gif ETの骨髄組織像

  • Cellularityは他の(通常の)MPNに比べて低い.(ほぼ正形成髄のことが多い)
     
  • 血小板凝集がめだつ(CD42bなど免疫染色で容易に確認可能)
     
  • 成熟巨核球が主体で, 核の異型は弱い
     
  • 巨核球の増多は他のMPNに比べて軽度
     
  • 他のMPNに比べて赤芽球の血島形成が明瞭でM/Eは低い
     
  • 異形成造血や芽球増加はみられない

early PMFの骨髄

  • PMFでは, 第一に 巨核球のクラスター形成を見つけることが大事. 8個も9個も多めに集蔟してくる. ETでは凝集があっても3個くらいまで.
 

green-sq.gif JAK2変異のあるMPNの骨髄所見

JAK2変異

  • 高度な過形成髄. JAK2変異では, とにかく細胞は増えている
     
  • 分化型顆粒球(mature granulocytes)を主体とする顆粒球過形成が見られる
     
  • 赤芽球の血島形成は保たれている.--->CMLでは血島は不明瞭になってしまう.
     
  • 巨核球は特徴的核異型を伴う成熟細胞の増加を示し, 小型巨核球はほとんど見られない.
     
  • PV(polycythemia vera)では, ほとんどがJAK2V617F/JAK2 Exon12の変異を示す.

JAK2V617F変異 骨髄組織像

  • MPNパターンの過形成髄
     
  • 特徴的核異型, dysmorphic, stag horn, cloud like, giant nucleiを呈する成熟巨核球の増加
     
  • M/Eが高い
     
  • 赤芽球の血島形成が残存している.
     
  • JAK2変異でみられない所見
    • p53陽性細胞
    • CD34芽球の増加
    • 赤芽球異形成
    • 骨硬化所見--> PMFの所見.

green-sq.gif JAK2変異ETと, CALR,MPL変異, T/N-ETを区別できるか.

MPL変異, CALR遺伝子異常

  • CellularityはJAK2変異と比べても低い, 軽度低形成のこともある. JAK2>CALR>MPL
     
  • 血小板凝集がめだつ高度な血小板単独の増多: MPL変異
     
  • Cellualityと線維化の不均衡がみられる: MPL変異
     
  • 白血球増多, 多血の傾向: JAK2>CALR>MPL

green-sq.gif MPNの経過中に血球減少をきたすのは, 線維化か, あるいは芽球増加の2つの場合がある.

green-sq.gif CMLとatypical-CMLをみわけるTips

  • atypical-CMLでは血島が残る. 他のMPNの範疇に入らないもので時にMDS featureを示すものがある. microMgk, etc. 予後はさまざま.
     
  • pureなCMLでは血島が消える. CMLの巨核球は小さめである.

green-sq.gif 骨髄血球増殖像のない, MPNもあるんだよ.

green-sq.gif MDSやLymphomaに合併するfibrosis.

  • MDSのfibrosisでは組織構築の破壊がある. 基本的組織構築の破壊の有無は血島がみえるかどうかで判定できる. 血島が残っていれば, fibroid MDSとはいえない段階.
     
  • 皮質骨周囲に赤芽球存在---> MDSを疑う.
     
  • 皮質骨周囲にリンパ球が存在--->リンパ腫の可能性.

green-sq.gif 赤芽球島のTips

赤芽球島は正常, ゆっくりと分化し成熟した赤芽球の集団を形成している. 同じような幼弱な赤芽球の集まった血島は, 一挙に分化が進む状態で異常を表している.

green-sq.gif MDS/MPN-ring sideroblast-Tのring sideroblast

green-sq.gif 反応性血小板増多の組織像

  • 低〜過形成髄(MPNパターンの過形成髄ではない.) 巨核球の凝集増加はなく散在性.
     
  • 成熟巨核球が主体
     
  • 小型巨核球の増加はみられない
     
  • 核異型所見は乏しい
     
  • ETでは血小板は凝集するが反応性血小板増多症の骨髄組織では血小板凝集(CD42b染色など免染でみる)はみられないことが多い. 血小板の機能が悪いのではないかと考えられる.

添付ファイル: filewhite-sq.gif 108件 [詳細] filesilver03OK_s.jpg 64件 [詳細] filesilver03OK.jpg 235件 [詳細] filegreen-sq.gif 125件 [詳細] filegreen-sq.jpg 59件 [詳細] filemark-dg.gif 55件 [詳細]

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Last-modified: 2018-03-23 (金) 07:01:57 (144d)