WikiPathologica

Acute promyelocytic leukaemia(APL), AML-M3

骨髄中に異常前骨髄球様細胞が増加する。致死的なcoagulopathyと形態的特徴により他の白血病と画然と区別される。日本では白血病の10-15%

病理組織,細胞所見

形態的にhypergranular(classical) APLmicrogranular (hypogranular) APL の2型がみられる。

Hypergranular APL

  • APL症例の70-80%を占める。末梢血では, ほとんどがleukocytopenia(平均白血球数は1800/μl)を呈する。
  • 血小板減少と貧血が認められる。
  • 芽球が増加していないことも多いが、異常前骨髄球細胞が8割ほどに増加するので診断は比較的容易。
HyperM3b.jpg
HyperM3a.jpg
  • 異常前骨髄球は, 大型細胞でN/C比は低め, 細胞質は粗いアズール顆粒が密集して核の辺縁が不明瞭になるほどが特徴。核縁が見える場合, 類円型または嵌入した腎臓型をしている。
  • ほとんど全症例で芽球,前骨髄球に10-20個, それ以上のAuer rodsが出現し, faggot cellと呼ばれる。fagotto(=薪の束、イタリア語)
  • 成熟白血球にdysplatic changeやAuer rodが出現する場合がある。
  • 骨髄clot section, trephine biopsyでは一般的にhypercellular, よい標本ではAuer rodが見られる。増殖細胞はNaphtol-ASD-CAE,免疫染色MPOが強陽性に染まる。

Microgranular(hypogranular)APL (M3variant)

  • APLの20-30%を占める. 末梢は前骨髄球の増加によりleukocytosisがある(平均白血球数は42000/μl)
  • 血小板減少と貧血が認められる。
M3vBM.jpg
  • 増殖細胞の多くはアズール顆粒が非常に繊細であるため、光顕で見るのが困難である。
  • variant typeの異常前骨髄球は大型で比較的小さなN/C比を示す。核は通常, 分葉lobulatedあるいは切れ込みinvaginatedが認められ単球の核に似ている。
  • 顆粒は核の切れ込みのところに集中して見られることが多い
  • ほとんどのmicrogranular typeには典型的なhypergranular APL細胞が小集団として出現する
  • 過塩基性細胞質をもつ小型前骨髄球が出現するがこれはhypergranular typeにも見られる
  • ほぼ全例にfaggot cellが見られるが、数は多くない.
  • 1-3個のAuer bodyをもつ芽球と前骨髄球が通常認められる
  • MPO, Naphtol-ASD-CAE, SBBには強陽性を示す

APLの遺伝子異常

t1517map.jpg
  • t(15;17)(q22;q11-12)はAPLに特異的な染色体転座とされる。de novo, 治療関連APLの90%の症例に検出される。hypergranular, microgranularいずれにも出現する。
    転座により15q22のPML(promyelocytic leukemia)gene17qのRARA(retinoic acid receptor-alpha)geneのfusion が発生しfusion productが産生される。PMLは Zinc finger binding transcription factorをencodeする遺伝子。切断部位は大部分RARAの第二イントロンにあり, ついで第3イントロンにあるとされる。
  • PML-RARAのfusion geneは転座が検出されないAPLにも証明されておりAPLに特異な遺伝子異常とされる。
  • fusion geneにはPML/RARA, RARA/PMLの2つがおこり両方のmRNAが発現しているが、PML/RARAの方がより病態に重要な働きをしていると考えられている。

APLのvariant translocation-- t(11;17)(q23.2;q12),t(11;17)(q13.4;q12)t(5;17)(q35.1;q12)がWHO分類のAPL variant translocationに記載されている

t(11;17)(q23.2;q12) ZBTB16-RARA
11番染色体にある 9 Zinc finger motif, ZBTB16(以前は, PLZF: promyelocytic leukemia zinc finger)とRARAのfusion geneができる。形態ではM2/M3中間型, 典型的なhypergranular M3の症例が報告されている。レチノイン酸治療には一般に反応しない。
 
ZBTB16はKrueppel C2H2-type zinc-finger protein familyの一員で, C末端に9つのKruppel-type zinc fingerドメインをもつzinc finger転写因子をコードする. このタンパクはcell cycleの進行に関与し, ヒストン脱アセチル化と相互に反応する. この遺伝子座の異常な遺伝子再編成は、急性前骨髄球性白血病(APL)発症に関連している。11q23.2 に限局し, 13 exon.
 
この転座によるAPLは形態的な違いが認められる.--regular nuclei(核がそろっている)がほとんど, 顆粒が多数で通常Auer rodsを欠く. Pelger異常を示す好中球が増加する. MPO活性が強い.
t(11;17)(q13.4;q12)
11q13のNUMA1(nuclear mitotic apparatus protein 1)がRARAとfusion geneをつくりAPL発症の原因となる。
t(5;17)(q35.1;q12) NPM1-RARA
さらにまれなvariant translocation, レチノイン酸治療に反応しない. *1
STAT5B-RARA
STAT5B(17q21.2). G-banding法では17番染色体はnormalに見える.all-trans レチノイン酸治療に反応する症例が報告された.*2
 
ZBTB16/RARA, STAT5B/RARA転座症例は, all-trans retinoic acid, arsenic trioxide(ヒ素), および anthracyclinesに抵抗を示す.*3
  • trisomy 8がしばしばAML-M3に認められることがあり, 疾患の増悪に関係している可能性がある。

Acute promyelocytic leukaemiaの症例

症例01 58歳 男性 AML-M3 variant

症例02 67歳 男性 AML-M3 非定型例

症例03 22歳 女性 AML-M3 非定型例

症例04? 48歳 女性 AML-M3 非定型例 


*1  Kikuma T, et al. A new transcriptional variant and small azurophilic granules in an acute promyelocytic leukemia case with NPM1/RARA fusion gene. Int J Hematol. 2015 Dec;102(6):713-8.
*2  Kusakabe M, et al. Detection of the STAT5B-RARA fusion transcript in acute promyelocytic leukemia with the normal chromosome 17 on G-banding. Eur J Haematol. 2008 May;80(5):444-7.
*3  Adams J, Nassiri M. Acute Promyelocytic Leukemia: A Review and Discussion of Variant Translocations.Arch Pathol Lab Med. 2015 Oct;139(10):1308-13.

添付ファイル: filet1517map.jpg 1439件 [詳細] fileM3vBM.jpg 3489件 [詳細] fileHyperM3b.jpg 2571件 [詳細] fileHyperM3a.jpg 2162件 [詳細]

トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2018-10-31 (水) 21:15:48 (48d)