病理学会中部支部交見会
第10回中部支部スライドセミナ症例01 S2007-2 †
食道癌切除組織内に合併する病変--75歳 男性
Speaker's Diagnosis †
Esophageal gland duct adenoma ( gastric cancerに合併 )
Speaker's presentation of the case †
- 報告例は数例のみ(全例が粘膜下腫瘍として発見・報告されている)
- 男性の下部食道に多く,英文報告では女性例は1例
- 筋上皮(+)二層構造, oncocytic changeが特徴
- 予後良好
- ほとんどが偶発的に発見される
- 免疫組織学的に本腫瘍の構成細胞は正常食道導管細胞と同様のphenotypeを示した
positive--CK5/6, CK7, CK19, HMWCK. MUC5Bはわずかに陽性.MIB-1<1%
- 免染・電顕で導管だけでなく終末導管Terminal duct への分化も確認できた
- 見落とされている可能性のある病変
正常食道腺についてのSpeakerの解説あり---正常食道腺
Discussion and Comments †
- Chair man
:腫瘍の横の食道腺がoncocytic changeを示しているのは?疾患の特徴ですか?
- Speaker
:正常でも食道腺はoncocytic changeがありますのでたまたまだと思います。この方がそうだったので腫瘍もそのような所見であった可能性もありますが…。
- Chair man
:生検のあとで手術した症例はございませんか?
- Speaker
:癌でとった,剖検で見つかったというのが殆どです.EMRの症例が二例ありそちらに行ってしまうようです。
- Commentater
oncocytic changeは加齢によりという報告がある.唾液腺もagingでoncocytic changeが増えるともいわれている
:内視鏡が増えてきて症例が増加しているようですが,きちんと報告されているのは17例
:台湾からの報告では生検で癌と診断されている症例がある.再発はない疾患.
:副病変として最近よく見るようになった
:食道癌では壁内転移と誤診されることがある。食道癌は壁内転移があると殆ど生きることはできない,壁内転移は重要な予後のマーカなのできちんと診断する必要があります。
正常食道腺の構造 †