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ユーイング肉腫と末梢性原始神経外胚葉性腫瘍 peripheral primitive neuroectodermal tumor(pPNET)

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Dr.James Ewing(1866-1943)によりdiffuse endotheliomaとして骨のEwing sarcomaが報告された

Dr.Ewingの病理組織所見
"broad sheets of small polyhedral cells with pale cytoplasm, small hyper chromatic nuclei, well-defined cell borders and complete absence of inter-cellular material".

Ewing' sarcoma of bones

  • 免疫染色,超微形態の研究により現在Ewing's sarcomaは神経外胚葉細胞由来の腫瘍であることがわかった
  • 特徴的な転座t(11;21)によりEWS geneとESTファミリ−gene(FLI-1など)のキメラ遺伝子を持つ遺伝子異常の共有により,病理形態的には差があるものの末梢性原始神経外胚葉性腫瘍(peripheral primitive neuroectodermal tumor)と同じ由来の腫瘍と考えられている
  • 骨に発生するほか骨外に発生するEWS/pPNETが存在する
  • 骨では骨髄腫,骨肉腫,軟骨肉腫についで多い4番目の頻度の悪性腫瘍である

骨外Ewing's sarcoma/ pPNET( peripheral primitive neuroectodermal tumor)*1

  • pPNETとEWSは前者に神経分化があるだけで区別される異なる臨床病理学的疾患なのかそれとも同一疾患であるかは意見のわかれる研究結果が提示されてきた。最近の分子遺伝学データと臨床, 形態学的証拠を考えるとEWSとpPNETは一部神経外胚葉形質を示す円形細胞肉腫スペクトラムの低分化と高分化の両端であると考えられる

EWS/pPNETは軟部腫瘍の1%以下を占めるまれな腫瘍でいずれの年齢にも発症するがピークは10歳以下から20歳代の間にある。大部分が傍脊椎領域および四肢近位の軟部組織深部に発生する。
腎臓, 膵, 髄膜など内臓発生もまれに報告される(visceral EWS/pPNET). 胸郭肺領域を侵すEWS/pPNETは最初の命名に従ってAskin腫瘍として報告されてきた。

EWS/pPNETの肉眼像は急速な発育を反映し通常広範な壊死, 出血をしめす大きな多分葉性腫瘤である。脊椎の腫瘍は骨を巻き込むために原発が骨か軟部かの決定がしばしば困難となる。

  • 組織像は神経外胚葉分化の程度を反映する。しかしEWS/pPNETの多くは小葉構造が優性である。
  • 病理形態スペクトラムのEWS側では腫瘍性小葉は円形または楕円形の水泡様核, 明瞭な核膜, 小型核小体, 境界不明瞭な乏しい細胞質をもつ小型円形細胞より構成される。
  • スペクトラムのpPNET側では, 腫瘍細胞はより豊富な好酸性細胞質と明らかな核小体をもつ。スペクトラムのより分化した側ではさまざまの量のロゼットが観察されることが重要である。Neuroblastomaで認められるHomer-Wright型がもっとも多いが時に脳質上衣腫類似のFlexner-Wintersteinerロゼットがある。
  • 細胞質内グリコーゲンは多くの未分化症例にありPAS染色陽性となるがロゼットを有するEWS/pPNETの半数以下にしか見られない。細胞分裂出現程度はさまざま,壊死はほとんど常に存在し時に広範で分枝状血管網の周囲にのみ帯状の生きた細胞が残る所見をみる。
  • EWS/pPNETは一部に紡錘形あるいは大型高度異型腫瘍細胞領域が出現する非典型的所見をとることがある。

免疫染色

CD99は確実に認められる有用なマーカで強い膜性陽性所見が多くのEWS/pPNETで分化度と関係なく認められる. しかしながらCD99は他の多くの円形細胞腫瘍にも陽性となることに注意が必要。--->CD99陽性円形細胞腫瘍

Cytokeratin: EWS/pPNETは皮膚腫瘍として発生することがあり, Merkel cell腫瘍(MCC)との鑑別が問題となる。

  • EWS/pPNETの20%がサイトケラチン陽性となることは重要である。
  • MCCはCD20+(dot状, 核近くに陽性)であり, ESW/pPNETは現在までCD20は全症例が陰性であることは鑑別に有用である。
  • 神経内分泌マーカは両者が陽性となるがMCCがより安定的な発現をしめす。
  • EWS/pPNETの神経外胚葉分化はLeu7(CD57), synaptophysin, S-100, neurofilaments, chromograninが陽性になることで示される。しかしこれらのマーカ出現には強いばらつきがあり診断的価値は低い。

内臓発生EWS/pPNETの診断頻度が増加している。腎臓発生ではとくに未分化腎芽組織が優位な成人型Wilms腫瘍が鑑別疾患となる。通常Wilms腫瘍ではCD99は陰性なので、免疫染色が非常に有用である。免疫染色や分子遺伝学的解析により多くの成人型Wilms腫瘍がEWS/pPNETに修正分類されるようになっている。

細胞遺伝学的診断

現在, 染色体相互転座とその切断部位に形成される融合遺伝子(fusion gene)形成は軟部腫瘍の細胞遺伝学的異常として病理診断の補助診断に使われている。

EWS/pPNETの主な核型異常はt(11;22)で, その他の異常は15%ほどの症例に出現し, t(21;22), t(7;22), t(2;22)である。

EWS転座は肉腫の転座の中でもっともよく知られ, 最初に同定,遺伝子のクローニングがおこなわれた。

t(11;22)転座は分子学的に, RNA結合領域をもつEWS遺伝子とETS(avian Erythroblastosis virus Transforming Sequence)ファミリ−遺伝子に属する11q24に位置するFLI-1(Friend Leukaemia virus Integration site 1)の結合をもたらす。この分子異常はEWS遺伝子の発癌変異をおこす。

EWSR1遺伝子: 22q12*2

EWSR1遺伝子のコードする蛋白は多機能蛋白質でN末端転写活性ドメインとC末端のRNA結合ドメインをもち遺伝子発現, 細胞シグナル, RNAプロセッシングと移送などさまざまな細胞プロセッシングに関与している。EWSR1遺伝子と他の種々の遺伝子の転座は転写活性因子蛋白質をコードするために腫瘍発生に働いてしまう。生成したキメラ蛋白質は通常EWSR1がコードする蛋白のN末端転写活性ドメインと転写因子蛋白のDNA結合ドメインが融合している。t(11;22)(q24;q12)はEwing肉腫とさまざまな神経外胚葉腫瘍の原因として知られている。EWSR1のスプライシング変化は種々の転写物を生じることになる。関連偽遺伝子がchromosome1と14に同定されている。

EWS/pPNETの治療と予後

EWS/pPNETファミリーの予後は不良。手術, 放射線治療, 化学療法の組み合わせにより長期生存率は10%から, 30-40%に伸びた。

低分化型であるEWS側の腫瘍が治療によく反応するという推定はまだ完全に実証されていない。また多くの症例は形態的スペクトラムの中間に位置し、免疫染色にも重なりが大きく, 組織病理学的違いがあいまいにならざるを得ない。


*1 Nasciment AG., Dei Tos AP. Small round cell neoplasms of soft tissues: A diagnostic aproach pp87-152 Handout of International Seminar at Lake Hamana 2004
*2 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/2130

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:20 (1566d)