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若年者子宮体癌症例の妊孕性温存療法 Fertility-Spairing Management in young endometrial cancer patients

治療効果判定の病理組織診断

文献*1

若年性子宮体癌患者さん妊孕性温存のためのホルモン療法による治療効果判定

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2013年, 子宮体癌の年齢調整罹患率は10万人あたり19.9で子宮頚癌の16.1を上回っている. *2*3

子宮体癌は子宮頚癌に比較して高齢婦人に多いとされてきた.その傾向に変化はないが, 近年では女性のライフスタイルの変化を背景に妊娠年齢の高齢化がすすみ子宮体癌の発生年齢に近接あるいは重複するようになっている.(2013年の統計:右図)---若年者子宮体癌患者さんの妊孕(にんよう)性温存可能な治療をすることの重要性が増している.

若年者子宮体癌はEstrogen依存性で, 子宮内膜異型増殖症/ 類内膜上皮内腫瘍(endometrioid intraepithelial neoplasm:EIN)を前駆病変とするtype Iのendometrioid carcinomaが多い.

typeI腫瘍はtype IIに比較して予後が良いとされ, 原則的に子宮体癌の治療は手術療法であるが, 条件を満たす場合は妊孕性温存可能な治療を行うことができる.

妊孕性温存療法適応の条件

子宮内膜全面掻爬で高分化類内膜腺癌(G1)かつIa期相当(子宮内膜に限局するもの)で筋層浸潤および子宮外転移がない---子宮体癌治療ガイドライン2009

妊孕性温存希望の類内膜癌(G1相当, 筋層浸潤なし)と子宮内膜増殖症には高用量黄体ホルモン療法が推奨される--子宮体癌治療ガイドライン2013

子宮内膜増殖症と妊孕性温存療法

子宮内膜増殖症が癌と併存, あるいは癌に進展する頻度. 国内外で同様の成績が示されている

異型を伴わない増殖症で 1〜3 %,
単純型子宮内膜異型増殖症で 8 %,
複雑型子宮内膜異型増殖症で 29 %
と報告されている.*4

  • 子宮内膜増殖症は前駆病変の性格を有し,特に子宮内膜異型増殖症は類内膜腺癌への進展,併存のリスクが高いことを念頭に置いて治療方針を決定する必要がある。
  • 子宮内膜生検で子宮内膜異型増殖症と診断され,子宮全摘出術が施行された症例における癌の併存率は17 〜50%である.*5 *6
  • Gynecologic oncology group(GOG)による前方視的研究(GOG 167)の報告によると,生検で子宮内膜異型増殖症と診断された289 症例中, 子宮全摘出後の最終診断における癌の併存率は43%であった. *7 *8

妊孕性温存の希望がない場合は原則的として子宮全摘出術が奨められるが, 挙児希望の患者には妊孕性温存療法を考慮する場合がある。その際には必ず子宮内膜全面掻賭を行い,癌の併存の状況を確認する必要がある

妊孕性温存療法を希望する患者さんに対しては,

1.病理組織学的診断
2.画像検査所見(MRI による筋層浸潤の有無,CT による卵巣を含めた遠隔転移の有無など)で内膜限局相当を確認.
3.臨床所見,安全性について婦人科腫瘍を専門とする医師が総合的に評価した上で適応を検討し,十分な説明を行う

黄体ホルモン療法にあたっては,
1)子宮内膜全面掻爬にて類内膜腺癌(G1 相当)と組織学的に診断され,
2)かつ筋層浸潤および子宮外転移( 進展)がないことが基本となる。

  • 筋層浸潤に関する治療前診断では,MRIがCT や超音波断層法検査より有意に診断に有効であるとされている.*9
  • また,子宮外転移(進展)に関しては,若年子宮体癌ではそれ以外の子宮体癌に比して有意に原発卵巣癌あるいは卵巣転移が多いとの報告があり,注意が必要である.*10*11

*1  今村裕子ほか 婦人科領域の癌に対する治療効果判定 病理と臨床 2017; 35(11):1024-1028
*2  Hori M, et al. Cancer incidence and incidence rates in Japan in 2009: a study of 32 population-based cancer registries for the Monitoring of Cancer Incidence in Japan (MCIJ) project. Japanese journal of clinical oncology. 2015;45(9):884-91.
*3  癌情報サービス:https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html
*4  Kurman RJ, et al. The behavior of endometrial hyperplasia. A long-term study of "untreated" hyperplasia in 170 patients. Cancer 1985; 56: 403-412
*5  Kurman RJ, et al. Evaluation of criteria for distinguishing atypical endometrial hyperplasia from well-differentiated carcinoma. Cancer 1982 15;49(12):2547-59.
*6  Dunton CJ, et al. Use of computerized morphometric analyses of endometrial hyperplasias in the prediction of coexistent cancer.Am J Obstet Gynecol. 1996 May;174(5):1518-21.
*7  Trimble CL, et al. Concurrent endometrial carcinoma in women with a biopsy diagnosis of atypical endometrial hyperplasia: a Gynecologic Oncology Group study. Cancer 2006 Feb 15;106(4):812-9.
*8  Zaino RJ, et al. Reproducibility of the diagnosis of atypical endometrial hyperplasia: a Gynecologic Oncology Group study. Cancer 2006 Feb 15;106(4):804-11.
*9  Kinkel K,et al. Radiologic staging in patients with endometrial cancer: a meta-analysis. Radiology. 1999; 212(3): 711-8.
*10  Gitsch G, et al. Endometrial cancer in premenopausal women 45 years and younger. Obstet Gynecol.1995 ;85(4): 504-8.
*11  Evans-Metcalf ER, et al.Profile of women 45 years of age and younger with endometrial cancer.Obstet Gynecol. 1998 Mar;91(3):349-54.

添付ファイル: fileprevalence-uterus Ca.jpg 57件 [詳細]

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Last-modified: 2018-05-02 (水) 11:28:21 (202d)