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Fibrosarcoma 線維肉腫

Dr. A.G. Nascimento の講演*1から

肉腫の診断における6つのポイント(Dr. Nasciment直伝)
1. Location
2. Histologic type
3. Size
4. Histologic grade
5. Depth 発生する深さ
6. Staus of resection margines

成人型線維肉腫 Fibrosarcoma, Adult variant

成人型あるいは古典的線維肉腫は悪性形態を示す線維芽細胞と筋線維芽細胞が種々の割合で混在する悪性間葉系腫瘍。

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  • 組織学的には杉綾模様(herringbone)の増殖パターンと種々の程度の膠原線維形成が特徴的
  • 発生頻度は成人に発生する全肉腫の1-5%を占める。中‐高年に発生し, 性差はみられない。
  • 四肢の深部軟部組織に最も多く発生する。ついで体幹や頭頚部に多い。
  • 原発性腫瘍として皮膚や皮下組織を侵すことはほとんどない
  • 放射線誘発の肉腫としては2番目に多い。
  • 充填や義肢などに関連して発症する線維肉腫様の像を呈する希な腫瘍がある。
  • Dermatofibrosarcoma protuberance 隆起性皮膚線維肉腫に続発する症例あり。
  • 脱分化型脂肪肉腫 dedifferentiated liposarcomaの一成分として希に見られることがある。

Histology

典型例な腫瘍は境界明瞭, 灰白色, 充実性腫瘤としてみられ, 硬く, 組織型悪性度により壊死や出血を伴う。

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  • クロマチンの増加した先細りの紡錘形細胞(tapared spindle cell)がherringbone像と細長い索状パターンを混在して増殖する。円形細胞からなるものや軽度から中等度の多型性を示すこともある。
  • 間質には細胞間膠原線維がわずかなものから, 種々の大きさの硬化巣や硝子化巣をみるものまで種々の程度の膠原線維沈着が認められる。
  • 間質の粘液腫様変化をみることがある。
  • 組織学的悪性度は 細胞密度, 核分裂像, 腫瘍の壊死により決められる。高悪性度はmitosis 10/10hpf以上。

免疫組織染色 Vimentin陽性。actinは筋線維芽細胞の関与により種々の陽性像を示す。筋線維芽細胞が優位な腫瘍は報告者により筋線維肉腫 myofibrosarcomaと呼ばれる。

鑑別診断

desmoid デスモイド腫瘍: 良性であるが侵襲性の発育を示す

均一な細胞密度, 均一な膠原線維形成, 典型的な筋性の薄い壁を有する血管の存在や骨格筋内へ進展する浸潤性境界などはDesmoidの特徴である。

悪性末梢神経鞘腫 malignant peripheral nerve sheath tumor(MPNST)

神経線維腫症(儀)を背景とする発生, 良性神経鞘腫の像を示す成分の存在, 大きな神経幹に病変が見られること, 紡錘形肉腫ではあまりS-100陽性所見がみられないことなどから鑑別する。

単相紡錘型滑膜肉腫

臨床病理所見, 免疫染色, 遺伝子診断などから鑑別する。

成人型肉腫には特徴的な遺伝子異常はなく, 複雑な多数の染色体再構成を認める。 12q22の関連する異常を示す成人型線維肉腫はもたない症例に比べて生存率がわるいことが報告された。

線維肉腫は10-60%の症例が肺や骨に転移し5生率は, 39-54%である。予後不良因子は高組織型悪性度, 壊死が多いこと, mitosis >20/10hpfなどが指摘されている。

乳児型線維肉腫 Fibrosarcoma, Infantile/congenital Variant (IFS)

IFSは組織学的に成人型線維肉腫と同じものであるが, ほとんど転移を起こさず, 線維腫症と類似した自然経過をしめすなど全く異なる臨床経過をとる。IFSは形態的にも遺伝子的にも富細胞型間葉芽腎腫(cellular mesoblastic nephroma)に関連している。

  • 表層および深部軟部組織を侵す腫瘍で, 四肢(42%), 体幹(38%)および頭頚部が主要な発生部位である。臨床的には痛みのない腫瘤が急速に増大する。

Histology

  • 肉眼所見は境界不明瞭な分葉状腫瘤で隣接する組織にしばしば浸潤する。30cmに達する巨大な腫瘤を形成することもある。割面は肉様, 灰白色粘液腫様, 嚢胞変性, 出血壊死など多彩な領域をともなう。
  • 組織学的には未分化類円形ないし紡錘形細胞の細胞密度の高い束状増殖が互いに交差してherringbone patternを示す。細胞多型性はみられないが, 核分裂像は非常に多い。膠原線維の形成は症例により様々である。種々の密度のリンパ球浸潤がよく認められる。
  • 典型的なherringbone patternが不明瞭な乳児型線維肉腫がある。副所見として間質に炎症細胞浸潤を同時に伴うことが知られている。
  • 組織学的亜型として, 限局性に血管周皮腫様血管分布, 粘液腫様変化, 膠原線維形成の乏しい円形細胞型などが存在する。

免疫染色 Vimentin陽性, 種々の程度のactin陽性が特徴的。EMでは線維芽細胞, 筋線維芽細胞の特徴あり。

細胞遺伝学的異常

  • G-band 法またはFISHにより 8, 11, 17, 20番染色体の数的異常が確立されている。
  • IFS多数例に t(12;15)(p13;q25)転座が認められETV6-NTRK3融合遺伝子の生成によりNTRK3受容体チロシンキナーゼ遺伝子の発癌活性化がおこる。同様の遺伝子異常は富細胞性間葉芽腎腫にもみられ共通の病理発生過程を示唆している。

鑑別診断

乳児線維腫症(通常著明な核分裂像を欠く)

滑膜肉腫

紡錘型横紋筋腫

治療と予後

IFSは成人型線維肉腫と比べ非常に良好な予後を示す。死亡率は4-25%, 再発率は5-50%である。転移はきわめてまれで, 死亡は生命予後を左右する臓器への進展することによりおこる。

低量化学療法は効果的であるが, 外科的処置も選択肢となる。自然退縮や不完全切除例の不活性化も報告されている。

Fibrosarcoma variants

Enzinger & Weiss's Soft tissue tumors 原著第5版にエントリーされているFibrosarcomaのvariant*2

Fibrosarcoma, sclerosing epithelioid type

Fibrosarcoma, myxoid type
(myxofibrosarcoma or low grade myxoid malignant fibroushistiocytoma )

Fibrosarcoma, fibromyxoid type
(low grade fibromyxoid sarcoma/ hyalinizing spindle cell tumor with giant rosett)


*1 International Seminar at Lake Hamana Pathology of Soft Tissue Tumors and the Slide seminar, Nov. 20-21, 2004
*2 Weiss SW., Goldblum JR.: Enzinger and Weiss's Soft Tissue Tumors, 5th ed., Mosby, St. Louis, 2008

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:20 (1789d)