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症例1 脾のEBV関連炎症性偽腫瘍様濾胞樹状細胞腫瘍の一例

豊橋市民病院臨床病理科 榊原綾子, 前多松喜先生 

70歳代女性

胃に多発する過形成性ポリープを近医でfollow-upされていた。ポリープが増大傾向を示し,切除を希望されて当院紹介受診となった。
腹部検索中に脾臓に境界明瞭な腫瘤状病変(径3cm程度)が発見され診断目的に脾切除術が施行された。
sIL-2R 1330U/ml (基準値220-530U/ml):悪性リンパ腫も否定できなかった。

胃過形成性ポリープ: 多発し内視鏡的切除は困難。生検で過形成性ポリープを確認している。 脾臓腫瘤切除3ヶ月の内視鏡検査で過形成性ポリープの退縮がみとめられて大変興味深い。

マクロ所見

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未固定組織ホルマリン固定組織

写真をクリックすると大きな画像がみられます。

ミクロ所見

Virtual Slideを見る--->脾臓腫瘤切除組織: 右クリックで新しいウィンドウで開くと便利です。
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症例の解説

EBV関連炎症性偽腫瘍様濾胞樹状細胞腫瘍Inflammatory pseudotumor-like follicular dendritic cell tumor*1*2

炎症性偽腫瘍と組織学的類似性を有する濾胞樹状細胞FDC腫瘍の特殊型とされるが--->参考:FDCS(Follicular dendritic cell sarcoma)のページを見る。

単純な炎症性偽腫瘍, あるいは濾胞樹状細胞の亜型ではなく, 臨床病理学的に独立した疾患単位を構成するもの (中村栄男)*3

Inflammatory pseudotumor, follicular dendritic cell type/ inflammatory pseudotumor-like follicular dendritic cell tumor *4

肝および脾に発生する炎症性偽腫瘍の約半数に紡錘形細胞の多くにEBVが陽性になることをArberらが報告した*5.

その後shekら*6は、それらEBV陽性細胞はクロナールに増殖する濾胞樹状細胞であることを免疫組織学的および電顕的に証明した。

Chan JKCらにより, これらの腫瘍を炎症性偽腫瘍様濾胞樹状細胞腫瘍と呼ぶことが提唱された。*7

  • 反応性変化の範疇を超える核異型の存在
  • 部分的にFDCtumorに類似した像を示す例もある
  • 一部の症例でEBvirus genomeのclonalityが証明されている
  • 希に再発・所属リンパ節転移・腹膜播種をきたす症例がある
  • 脾・肝に発生(脾発生症例がほとんどで肝はごくまれ)膵近傍、女性に優位
  • 緩徐な臨床経過, 時に局所再発
  • 通常は弧在性病変 出血壊死をともなう
  • 小型リンパ球 形質細胞の密な浸潤
  • 散在性に分布する異型紡錘形あるいは卵円形細胞
  • フィブリノイド変化を伴う小血管
  • 下図にIP-like FDCとconventional FDCの臨床病理学的差異を示した。
 

IP-like-FDC.jpg

 

Discussions

Chair man: 脾臓では典型的な症例を経験しますが、肝ではIgG4related diseaseだったりして、本当のこの疾患はみたことがありません。中村(中村栄男)先生のところには肝臓のケースもあるのでしょうか?

Dr.Sakaki: 脾臓がほとんど,あと膵の近傍の症例があります。肝臓の例はなかったんじゃないかと記憶しています。

リンクページ

濾胞性樹状細胞肉腫FDCS(Follicular dendritic cell sarcoma)

EBV関連平滑筋腫瘍 EBV-associated smooth muscle tumor (CHUBU1401)


*1 Cheuk W, et al Inflammatory pseudotumor-like follicular dendritic cell tumor: a distinctive low-grade malignant intra-abdominal neoplasm with consistent EB virus association Am J Surg Pathol 2001, 25:721-31
*2 病理と臨床2007,25:455-57
*3 榊原綾子ほか EBV関連炎症性偽腫瘍様濾胞樹状細胞性腫瘍 病理と臨床2007; 25(5): 454-458
*4 Chan JKC: Inflammatory pseudotumor: a family of lesions of diverse nature and etiologies. Adv Anat Pathol 1996, 3 :156-171
*5 Arber DA et al., Frequent presence of the Epstein-Barr virus in inflammatory pseudotumor. Hum Pathol. 1995 Oct;26(10):1093-8.PMID:7557942
*6 Shek TW et al., Follicular dendritic cell tumor of the liver. Evidence for an Epstein-Barr virus-related clonal proliferation of follicular dendritic cells. Am J Surg Pathol. 1996 Mar;20(3):313-24. PMID:8772785
*7 Cheuk W, et al Inflammatory pseudotumor-like follicular dendritic cell tumor: a distinctive low-grade malignant intra-abdominal neoplasm with consistent Epstein-Barr virus association. Am J Surg Pathol. 2001 Jun;25(6):721-31.

添付ファイル: fileIP-like-FDC.jpg 599件 [詳細] file217case01c.jpg 699件 [詳細] file217case01b.jpg 566件 [詳細] file217case01a.jpg 758件 [詳細] fileFDC_tumor2.jpg 595件 [詳細] fileFDC_tumor1.jpg 503件 [詳細]

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Last-modified: 2016-07-22 (金) 17:02:37 (879d)