NF-κB シグナリング
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MYD88-Directed NF-κB signaling †
MYD88はtol-like receptorおよびinterleukin-1 receptor signalingにおける中間分子(adoptor molecule)である。
1. 両レセプターがリガンドと結合するとtol-interleukin-1 resistanse (TIR)ドメインは直接MYD88を活性化するほか, TRL4ではTIR domain containing adoptor protein (TIRAP)とBurton's tyrosin kinase (BTK)が反応することでMYD88が活性化される。
2. 刺激後MYD88はホモ二量体の活性化受容体複合体として動員されIRAK4(interleukin-1 receptor associated kinase 4)の自己リン酸化(autophospholiration)を来し, 次いでIRAK4がIRAK1をリン酸化、細胞膜結合性 TRAF6( tumor necrosis factor receptor-associated factor 6)をIRAK1より細胞質内に放出させる。
3. TGF-βactivated kinase 1(TAK1) binding proteinsのTAB1,2はTRAF6とTAK1の結合を促進させる。
4. リン酸化されたTAK1はヘテロ三量体 IκB kinase(IKK)複合体(NEMO/IKKγ, IKKα, IKKβ)をリン酸化, 次いでNF-κB古典的経路のIκBαが活性化されユビキチン化を受けて分解, 抑制のとれたNF-κBは核内へ移行し遺伝子の転写が活性化される.(NF-κBの項を参照)
MYD88のmutationはさまざまなリンパ増殖疾患において報告されるようになっています。
somatic mutationが, TIR(toll/ interleukin-1 resistance) domainに集中し、なかでもL265Pの頻度がたかくなっている。
MYD88 L265P muationによりNF-κBとJAK-STAT3シグナルを介して細胞生存が促進されると考えられている。*1
MYD88 Allele-specific PCR*2*3
forward primer(5'-3')
1. MYD88ex5_AS01; GTGCCCATCAGAAGCGCCT
2. MYD88ex5_AS02; GTGCCCATCAGAAGCGCCC
3. MYD88ex5_f; GTTGAAGACTGGGCTTGTCC
reverse primer(5'-3')
4. MYD88ex5_r; AGGAGGCAGGGCAGAAGTA
anealは59℃. L625P mutantではAS02-rのprimer pairでバンドが検出される.
AS01-rおよび, ex5 f-rはwild, mutantいずれでもバンドがでる.
後者のampliconはシークエンスへ.
MYD88 gene
MYD88 mutationとWaldenstroem macroglobulinemia †
- WMと診断されたLPL 30例の末梢血, 骨髄からソートしたCD19細胞をもちいた全ゲノムシークエンスで27/30例にMYD88遺伝子L265P変異が検出された。SangerシークエンスでWM 49/54例(91%), IgM非分泌性LPL 3/3例(100%)がMYD88L265P変異陽性であった。一方IgM-MGUSでは2/21例(10%)と低頻度であった。*4
- MYD88の二量化阻害剤とともにWM細胞を培養すると, MYD88シグナルが抑制され, IκBα, NF-κBp65のりん酸化とNF-κBの核染色が著明に減少した。同様な結果はIRAK1/4キナーゼ阻害剤をMYD88変異陽性MW細胞に添加しても認められる。一方野生型MYD88のWM細胞ではMYD88シグナル抑制による, これらの変化は見られなかった。*4
- PCR-RFLPによる解析ではWM症例 18/27例(67%)にL265P変異が認められた。
- MYD88L265P変異検出は, WMとIgMを産生する他のリンパ系腫瘍の鑑別診断に有用と考えられる。
MYD88 mutationとDiffuse large B-cell lymphoma †
Ngoらは, RNA干渉スクリーニングを使って, MYD88と, その会合キナーゼであるIL-1 receptor-associated kinase 1(IRAK1)とIRAK4がactivated B-cell type DLBCL細胞の生存に不可欠なことを明らかにした.さらにDLBCLの4細胞株においてMYD88L265P変異をRNA resequencingによる解析により認めた。*1
- MYD88遺伝子変異はABC type DLBCL症例の29%に認められた。最も頻度の高い変異はL265Pであった。
- MYD88遺伝子L265P変異はToll/IL-1 receptor(TIR) domainに局在し, IRAKを介したNF-κBシグナル伝達のトリガーとなって恒常的な活性化をきたしていると考えられた。
- L265P変異は他のDLBCL亜型ではまれにしか認められなかった。L265P変異以外のMYD88遺伝子変異もTIR domainで認められたが頻度は低い。
- splenic marginal zone lymphoma: SMZLでは6/46例(13%)にMYD88遺伝子L265P変異が認められた。
- MALT lymphomaでは低頻度(3/53例, 6%)ながらMYD88遺伝子L265P変異が認められた。
- MALT lymphoma 7% には変異が認められたが, Nodal marginal zone lymphoma 11例にはMYD88遺伝子L265P変異は認められなかった*5
- CLLでもMYD88変異が認められる。未治療CLL症例 1,160例のうち1.5%に*6また, TLR/MYD88経路の変異を調べたCLL587例中19例(3.2%)にMYD88遺伝子変異が認められた。*7変異は若年者に多く, 変異陽性例は経過が良好だった.
- 節外発生のDLBCL, 睾丸発生DLBCL*8*9および乳房DLBCL*10にMYD88遺伝子変異が多く認められている。