静岡病理医会

「後腹膜Immature teratomaを初発症状とした精巣mixed germ cell tumorの1例」

磐田市立総合病院 臨床検査科病理 大石 直輝, 谷岡 書彦

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54歳男性

心窩部不快感を主訴に当院消化器科を受診。症状は受診の6ヶ月前より発生し持続していた。精査により後腹膜腫瘤を指摘される。腫瘤は下大静脈の一部および十二指腸への浸潤が疑われた。脂肪肉腫, 神経系悪性腫瘍の疑いで腫瘤摘出, 十二指腸合併切除が行われる。

右図:腹部CT画像, クリックで大きな画像が見られます。

後腹膜腫瘤病理組織所見

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摘出された腫瘤は径11.5cm, 柔らかで割面は充実性ivory white, 出血壊死が著明. 十二指腸は浸潤により剥離不能のため腫瘤につけて部分摘出された。

後腹膜腫瘍組織所見
代表的な組織をしめす(Fig.1). 神経管様の不規則な管腔構造と未分化な間質細胞が認められる。粘液を産生する上皮からなる腺管が出現(Fig.2). 幼若な軟骨様組織と周囲間質組織を示す(Fig.3)。神経管様組織では管腔周囲の細胞にCD56が陽性となる(Fig.4). より低分化な神経由来組織と考えられるPNET類似の部位(Fig.5)では, CD56とMIC-2(CD99)(Fig.6)が陽性をしめす。粘液産生腺管にはCDX-2が陽性となった(Fig.7). この他、未熟な上皮様組織および間質組織では, AFP、CD34、c-kit、SMAが陽性となる部分がみられた。

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Fig.01Fig.02Fig.03
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Fig.04Fig.05Fig.06
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Fig.07alpha-FP

以上の所見から本腫瘍は未熟な三胚葉成分からなるimmature teratomaと診断。十二指腸粘膜下および固有筋層に浸潤性に増殖し、核の大小不同、核分裂像が目立つ部分も多く(Fig.8)、Grade3に分類した。

術後経過,精巣腫瘍摘出

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後腹膜腫瘤摘出後外科に睾丸および縦隔の精査を依頼したところ、特に異常はないという報告。しかし、術後2ヶ月造影CTで、後腹膜腫瘤の再増殖と右精巣腫瘤が認められ、右高位精巣摘出術が行われた.

精巣腫瘍のミクロ像(下左図)です。腫瘍のほとんどは、いわゆるtwo cell patternの所見で、Seminomaと診断.ごく僅かembryonal carcinomaの成分(下右図)を認めた.

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Speaker's Diagnosis

Mixed germ cell tumour of the right testis, metastasized to retroperitoneum, presenting as immature teratoma

近年のGerm cell tumourの発生の考えではGerm cell からSeminomaが発生し、Seminoma自身もprecurcerとして他のGerm cell tumourへと分化すると考えられています。以上から本腫瘍の成立を考察すると精巣原発のmixed germ cell tumourが後腹膜へ転移しimmature teratomaへと分化したと考える。germ cell tumorは転移巣で「大化けする」という考え方です。

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:20 (1447d)