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Natural Killer cell ( NK cell)

 
LGL07NK.jpg

NK cell はBリンパ球, Tリンパ球とはことなる第3のリンパ球として末梢血リンパ球の5-15%未満を占め、大型顆粒リンパ球(large granular lymphocyte[LGL])の形態をとる

  • largeはlymphocyteの修飾語で(=赤血球直径の2倍前後),顆粒が大きいという意味ではない. 正常者末梢血の顆粒リンパ球の多くはNK cellで一部はTリンパ球である.
     
  • NK細胞の顆粒リンパ球はほぼ、大型で豊かな細胞質をもつがT-cellのLGLは小型から中型, かならずしも大型のリンパ球様細胞の形はとらないことがある.
     
  • T細胞受容体, B細胞受容体をもたず, ヒトではsCD3-, cCD3ε+, CD56+, CD16+,のphenotypeをしめしヒトがん細胞K562に対する細胞障害活性をもつ。
     
  • NK cellは ある種の腫瘍細胞や細菌・ウイルス感染細胞を前感作なしに障害する(細胞障害活性=natural cytotoxicity)ことのできる細胞で獲得免疫が誘導される以前の自然免疫機能に重要な役割をはたしている。
     
  • NK cellは免疫応答後期においても働いている。これは抗体が結合した細胞を障害する機構であり抗体依存性細胞障害活性(ADCC)と呼ばれている。
     
  • 自己のMajor histocompatibility complex(MHC) class-Iを認識する抑制性のレセプターがNK細胞上に存在し自己正常細胞に対する細胞障害活性を抑制していることが知られてきた。
 

NK細胞の発見の歴史

NK細胞の発見は癌細胞と免疫細胞を混合培養したときに癌細胞が少し傷害される現象から1960年代にHerberman、仙道らが「細胞障害性(natural killing)」をもつ細胞集団の存在を明らかにしたことから始まる。*1*2*3 その後NK細胞の細胞障害性にはパーフォリンperforinと呼ばれるタンパク質が必須であることが証明された. *4 NK細胞のCDマーカや形態学的特徴による分類がおこなわれ*5, さらにNK細胞はインターフェロン(IFN)というサイトカインを産生することが発見された*6

NK細胞の標的細胞認識機構

NK細胞は何らかの自己抗原を消失している細胞を攻撃するのではないか(ミッシングセルフ仮説)--->NK細胞はMHCがない細胞を異物(非自己)として認識する.

NK細胞はB,T細胞と異なり標的細胞を認識する抗原レセプターの遺伝子組み換えを示さない. 限られたレセプターで標的細胞を認識するため「非自己」の認識機構を利用する. つまりNK細胞はMHC class宜蓋兇鯒Ъ韻垢抑制性レセプターを用いて, MHC class気糧現する細胞を自己とし発現しない細胞を非自己の細胞として攻撃している.*7
持続感染を示すウイルス感染細胞やある種の癌細胞ではT細胞の認識をのがれたためMHC class吉現が低下していることが多く, NK細胞の抑制化レセプターで認識されずに障害されることになる。

  • ヒトでCMVの初期感染は持続感染となるが通常は特に問題となる臨床症状はしめさないが胎児や免疫機能低下状態では重症の感染症を引き起こすことがある。
  • NK細胞機能不全患者ではT, B細胞機能が正常にもかかわらず重症CMV感染や単純ヘルペス感染に陥ることが知られている。
  • X連鎖リンパ増殖疾患においてはNK細胞機能不全が認められEBVによる伝染性単核球症やB細胞リンパ腫が頻発する。

さらにNK細胞には標的細胞上の活性化リガンドに反応して細胞障害性を活性化する活性化レセプターも多数存在する。抑制性レセプターと活性化レセプターからのシグナルバランスによりNK細胞の挙動が決定されている。

ヒトNK細胞分化モデルと表面マーカ*8

humanNKdiff01.jpg
  • ヒトではCD34+, CD45RA+, integlinα4β7bright細胞が効率よくNK細胞を生成するNK細胞前駆細胞として知られている。
  • この細胞集団をIL-3, IL-7, Fms-like tyrosine kinase-ligand(Flt-3L)の刺激によりIL-15反応性細胞(ステージ2)が生成する。
  • IL-15存在下での培養でCD34-, CD117+, CD94- NK細胞(ステージ3), さらにCD34-, CD117-, CD94+, CD56brightNK細胞(ステージ4)へと分化する.
  • CD56を発現するNK細胞はCD56brightとCD56dimの2つのサブセットに分類される.
  • CD56brightNK細胞(ステージ4)はHLA-A, -B, -Cなどを認識するKIR(killer cell immunoglobulin-like receptor)を発現しない. CD56dimNK細胞(ステージ5)はKIRを発現するより分化の進んだ細胞集団といえる。
  • ステージ1-3のCD56- NK細胞ではperforinの発現, IFN-γ産生はみられない。
  • ステージ4以降のCD56+ NK細胞でperforin/granzymeによる細胞障害活性とIFN-γ産生が観察される。
  • CD56brightNK細胞はサイトカイン産生が優位で細胞障害活性が弱い。
  • CD56dimNK細胞は細胞障害が優位でありperforin/granzyeやFasによる細胞障害活性がみられるがcytokine産生は減弱している。

(CD56bright; flowcytometry でCD56強陽性, CD56dim; CD56弱陽性の意味)

 

CD56発現の強さによるNatural killer cellのsubsets*10

CD56dim NK cells

細胞融解に働くNK cellsで感染細胞やがん細胞を感作なしに殺すことができる&note;

pairreceptor.jpg

NK cellによる標的細胞認識*11

NK細胞は精巧なレセプター群をもつ。それぞれのレセプターからNK細胞の増殖や細胞障害活性, またサイトカイン産生を制御するシグナルが伝達される。*12これらのレセプター群は細胞の応答を抑制する抑制化レセプターと細胞応答を惹起し増強する活性化レセプターに分類される。抑制化および活性化レセプターは, 細胞外領域は非常に高い相同性を示すにもかかわらず, 相反する機能を持った, いわゆるペア型レセプターとして存在している。 抑制化レセプターは長い細胞質内領域にITIM配列をもち, SHP-1などのホスファターゼを動員することで活性化レセプターからのシグナルを遮断する。
抑制化レセプターの多くはMHCクラス気鯒Ъ韻垢襪燭瓮ラス気糧現が正常な自己細胞に対し細胞障害性を示さない。 一方活性化レセプタ−は細胞内領域が短くITIM配列を持たない. そのために細胞膜貫通領域に陽性荷電アミノ酸をもつことで, 細胞膜貫通領域に陰性荷電アミノ酸をもつDAP12, CD3γ, あるいはFcRγなどのITAM配列を有したアダプター分子と会合して活性化シグナルを伝達する。

NK細胞の抗原認識に関与するレセプター群には主にIgスーパーファミリーの多くがコードされるleukocyte receptor complex(LRC, ヒト19番染色体)およびC-type lectinの多くがコードされるnatural killer complex(NKC, ヒト12番染色体)上の2つの遺伝子座にクラスターを形成して存在する。

ヒトではLRCにコードされIg様構造をもつ抑制化KIRが知られている。 NKCにはNKG2, CD94, NKRP1などのNK細胞レセプターも存在する. NKG2とCD94はへテロダイマーとして発現するが抑制化と活性化からなるペア型レセプターとなっている。CD94/NKG2はKIRと異なりHLA-EやQa-1といった非古典的MHCクラス気鯒Ъ韻垢.

ITIM (immune tyrosine-based inhibitory motif): V/IxYxxLのアミノ酸配列からなる(xは任意のアミノ酸). 種々の抑制化レセプターの細胞内領域に認められリガンドの認識によりチロシンリン酸化がおこりSHP-1などのフォスファターゼを動員する。その結果ITAMを介した活性化レセプターからのリン酸化シグナルに対し脱リン酸化をおこして活性化シグナルを阻害する. ITIMをもった分子としてはKIRなどのNK細胞レセプターの他B細胞に発現するFcγR, T細胞のCTLA4等さまざまな分子がある.

ITAM (immune tyrosine-based activating motif): YxxI/Lx(6-8)YxxI/Lのアミノ酸配列からなる.T細胞レセプターのシグナル伝達分子CD3γ, δ, ε, ζ鎖, B細胞レセプターの伝達分子Igα, β鎖, 活性化NK細胞レセプターのDAP12の細胞内領域に認められる. 会合するレセプターがリガンドを認識することにより, ITAMのチロシンのリン酸化に始まりZAP70やSykといったチロシンキナーゼのリン酸化が誘導され活性化シグナルが伝達される。

FcγR (CD16):
FcγR (CD16)はIgGの低親和性FcレセプターでありNK細胞に強く発現し, 抗体依存性細胞障害活性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity: ADCC)を担う。FcγR靴魯劵箸任FcεRIγとCD3ζ(ゼータ)とのヘテロ二量体が会合しITAMのリン酸化を介して活性化シグナルを伝える


*1  Herberman RB et al., Int J Cancer 15; 216-229, 1975
*2  Herberman RB et al., Int J Cancer 15; 230-239, 1975
*3  Sendo F et al., J Natl Cancer Inst 55; 603-609, 1975
*4  Shinkai Y et al., Nature 334; 525-527, 1988
*5  Minato N, et al., On the heterogeneity of murine natural killer cells. J Exp Med.1981;154(3):750-62.
*6  Handa K et al., Natural killer (NK) cells as a responder to interleukin 2 (IL 2). II. IL 2-induced interferon gamma production. J Immunol. 1983 Feb;130(2):988-92
*7  Karre K. et al., Nature 319: 675-678, 1986
*8  和田はるか NK細胞分化の制御シグナル 実験医学 25(9); 1308-1314
*9  Hoffman R, Ed, Hematology: Basic Principles and Practice 6th Ed; 2012: pp210-216, WB Saunders
*10  Hoffman R, Ed, Hematology: Basic Principles and Practice 6th Ed; 2012: pp210-216, WB Saunders
*11  白鳥行大ら, NK細胞によるウイルス感染細胞の認識機構 実験医学 Vol23(10);p1525-1530:2005
*12  Lanier LL Annu Rev Immunol 23; 225-274,2005

添付ファイル: filehumanNKdiff01.jpg 2380件 [詳細] filepairreceptor.jpg 1395件 [詳細] fileLGL07NK.jpg 1458件 [詳細]

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Last-modified: 2019-09-09 (月) 11:39:46 (11d)