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Neural crest(神経冠/堤)*1細胞とその移動による器官形成

動物細胞は生まれた場所だけでなく, 移動してから集まって組織をつくります. 神経冠/堤細胞はその代表的な細胞です.

  • 脊椎動物胚で神経冠/堤(neural crest)の細胞は最初神経管にあるが,そこから脱出し特定の経路をたどりさまざまな部分へ移動する.そこで仲間どうし,または他の細胞と集合し分化をとげ末梢神経系などの多様な組織をつくる.

神経冠/神経堤細胞

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  • 発生第3週末には外胚葉から形成された神経板から神経ヒダと神経溝ができる.神経ヒダは正中で癒合して以後神経管を作る.神経ヒダが挙上して癒合すると神経板側方縁すなわち神経板の稜の細胞が隣接部から分散しはじめる.この細胞集団はNeural crestと呼ばれる
    • Neural crestの細胞は神経外胚葉をはなれ活発に遊走し下層の中胚葉に入り込むと上皮性から間葉性に変化する.
    • 中胚葉とは胚盤葉上層および胚体外の組織に由来する細胞
    • 間葉とは,起源にかかわらず,粗に組織化された胚子結合組織をさす
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Neural crest由来の組織

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  • 神経外胚葉を離れた神経冠細胞は障害を受けやすい集団になり催奇形因子となることも少なくない.神経冠細胞は頭蓋や顔面骨の大部分を形成するため,頭蓋・顔面異常の発生はまれではない
    • トレーチャー・コリンズ症候群
    • 下顎顔面異骨症
    • ロバンシークエンス
  • 神経冠細胞は心臓の流出路を大動脈と肺動脈に分ける動脈幹円錐心内膜隆起の形成に関与するため,顔面異常児の多くは動脈管残存,ファロー四徴,大血管転換などの血管系奇形を伴う.
  • 発生中に一過性に体表外胚葉と神経管の間に前脳から尾部体節まで広がる中間帯を形成する
  • 中間帯から神経管両側外側へ遊走した細胞の一部は脊髄神経の知覚性神経節または後根神経節となる
  • 知覚性神経節の神経芽細胞からは2つの突起が形成され
    • 中枢側への突起(脊髄神経の知覚性後根)は脊髄後角または高位大脳中枢に到達する
    • 末梢側への突起は運動神経前根線維と脊髄神経幹の形成にあづかり最終的に知覚受容器におわる

交感神経系の発生と神経冠細胞

  • 発生第5週に胸部神経冠由来細胞が脊髄の両側を背側大動脈のすぐ後方に向かい移動する
  • これらの細胞が神経線維で結合され両側性に分節性配置をした交感幹神経節の連鎖を形成する
  • 胸郭内から神経芽細胞が頚部および腰仙部に遊走し交感神経幹が全長に伸びる
    • 最初分節的に配列している神経節は癒合し配列があいまいになる.特に頚部は著しい
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  • 交感神経系から由来する神経冠細胞は形成中の副腎内方に侵入して副腎髄質となる
  • これらの細胞はクロム塩で褐色に染まりクロム親性細胞(chromaffin cell)とよばれる
  • クロム親性細胞は胎生期間中,胚子の体内広く散在するが,成人では副腎髄質のみに細胞集団が残る

神経上皮細胞と細胞の派生

神経上皮細胞
閉鎖して間もない神経管壁を構成する厚い多列上皮細胞を神経上皮(Neuroepithelial cell)とよぶ。神経上皮細胞は管腔面で互いに連結複合体(junctional complex)で結ばれている。神経溝の期間と管閉鎖直後の期間には神経上皮細胞は急速に分裂増加して神経上皮層(または神経上皮)を形成する。

神経芽細胞の分化
神経管が閉鎖すると神経上皮は他の細胞に分化を開始する。細胞には濃染する核小体をもつvesicularで大きな丸い核があり神経芽細胞(neuroblast)/原始神経細胞とよぶ。

神経芽細胞は最初管腔に伸びる中心突起(一過性樹状突起)をもつが蓋層(神経上皮細胞層を取り囲む層)に移動すると突起は消失する → 無極神経芽細胞

さらに分化すると胞体の相対する側から2本の細胞形質突起を形成 → 双極神経芽細胞

双極神経芽細胞の一方の突起が急速に伸長し原始軸索となり他方は多数の細胞質分枝となり原始樹状突起となる。原始軸索, 原始樹状突起をもつ細胞を → 多極神経芽細胞(multipolar neuroblast)

多極神経芽細胞の発生がさらに進み → 神経細胞, ニューロンイ箸覆

神経管の神経芽細胞は神経上皮細胞層を取り囲む層となる蓋層(mantle layer)[外套層]を形成する。蓋層は将来の脊髄灰白質となる。脊髄最外層は蓋層の神経芽細胞からのびる神経線維を含み縁帯(marginal layer)を構成する。縁帯の神経線維は髄鞘を形成し肉眼的に白色を呈する脊髄白質となる

神経膠細胞(glial cell)

神経芽細胞の産生を終了した神経上皮細胞から原始支持細胞である神経膠芽細胞(glioblast)が生じる。

膠芽細胞は蓋層と縁帯に移動し, 蓋層で形質性星状膠細胞(protoplasmic astrocyte)線維性膠細胞(fibrillar astrocyte)に分化する。縁帯ではもう一つの型の支持細胞である希突起膠細胞(oligodendroglial cell)に分化すると考えられる。希突起膠細胞は縁帯内を上行下行する軸索を囲む髄鞘を形成する。

発生後半には中枢神経に第3の支持細胞である小膠細胞(microglia)が出現する。小膠細胞は貪食作用が強く間葉細胞に由来すると考えられる。

神経上皮細胞は神経芽細胞, 神経膠細胞を産生し終えると最後に脊髄中心管の内面を被覆する上衣細胞(ependymal cell)に分化する.

髄鞘形成

シュワン細胞(Schwann cell)は神経冠(/神経堤)細胞に由来し末梢へ遊走,その細胞膜を軸索のまわりに幾重にも巻きつけ末梢神経の神経鞘neurilemmaをつくる。胎生4ヶ月始めにミエリンmyelinが沈着し神経線維は白くみえるようになる。

中枢神経である脊髄の神経線維をとりまく髄鞘はシュワン細胞ではなく, 全く別の希突起膠細胞に由来する。脊髄髄鞘形成は胎生のほぼ4ヶ月に始まる。


*1 Neural crestの訳には「神経冠」も使われています.一方「神経堤」という訳も広く使われています.crest=動物の頭の皮膚,羽飾りなので英文の意味を尊重するなら「冠」の方がより適当かもしれません.ただし神経管と神経冠で日本語では音が同じになり紛らわしくなりますね

添付ファイル: fileNeuralcrest02.png 1713件 [詳細] fileadrenalmedulla01.png 1341件 [詳細] fileHaishi01.png 1405件 [詳細] fileNeuralcrest01.png 1530件 [詳細]

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:20 (1728d)