第11回東京骨髄病理研究会

注意: commentは管理人自身のまとめです。管理人の理解のためのまとめで, 実際のcommentと異なることがあり管理人の意見も追加されています。(後出しすみません)

第11回東京骨髄病理研究会 症例検討No.3

核型異常46,XY,+1,der(1;22)(q10;q10)の認められたMPL W515R mutation-positive 血小板増多症の一例(TBM11-03)

谷岡 書彦1), 中村悟己2),3), 大西一平1), 鈴木潮人1), 椙村春彦3)
1)磐田市立総合病院病理診断科, 2) 高橋内科医院, 3) 浜松医科大学第一病理学講座磐田市立総合病院病理診断科

抄録-->fileNo11TokyoBM-case.pdf

骨髄Virtual Slide-->bone marrow clot section. TBM11-03 (Sorry, you need ID&psswrd to see the virtual slide)

症例

50歳代男性. 自覚症状なし. 30年来のthrombocytosisを指摘されている.
既往歴, 家族歴に特記すべきことなし.

30歳頃より血小板が多いと言われていた. 40歳代, A病院で血小板増多 (70x104/μl)を指摘. 骨髄検査は行わず, 経過観察.
その後受診中断. 最近, 近医で血小板数110x104/μl, バイアスピリンの投与を受けている.~ 胃ポリープ検査のため当院消化器科紹介, 血液内科で治療を継続することになった.
現症; 血圧111/72mmHg, 脈拍71整. 胸腹部異常なし, 肝脾腫認めず.

検査所見; CBC; Hb 14.2g/dl, RBC 476x104/μl, Ht 42.5, MCV 89.3, MCHC 33.4, WBC 5700, diff.; St. 3.0, Seg 61.0, Eo1.0,
Ba 1.0, Mo 6.0, ly 28.6%, plt. 105x104/μl, GOT 20 U/L, GPT25 U/L, LDH 229 U/L, γGTP37 U/L, BUN23mg/dl, Crea 0.88mg/dl, UA3.2mg/dl

 

karyotype: 46,XY,+1, der(1;22)(q10;q10)[19]/46,XY[1]

Smas-karyotype-A-gray.jpg Smas-46XYgray.jpg

commentator01
これはいま言われた, 1;7と同じパターンの転座で, 切断点が1番のセントロメアと…10(イチゼロ)というのはセントロメアの意味なんですね.
qと書いているのは長腕が残りましたという意味ですね.1と22のセントロメアで切れて長腕どうしが残った。
それが1番のところの一番右側,(矢印で示された派生染色体) 下が1の長腕で, 上は22の長腕であるという…それだけですね。
それじゃあ何か特異的な意味があるかというと…文献をさがしても出てこないと思います。結局起こったのは1q trisomyということですね。
22のセントロメアより上の短腕がとれても遺伝子はありません。繰り返し配列しかない。この転座は1q trisomyと一緒です。
そうするとMDSが一番, 2番目がMPN, 芽球はたぶん少ない。白血化は非常に低い。
1;7から類推すると. 感染症みたいなものに気をつけなければいけないかもしれません。もっとも1:7は相手が7番であるから予後不良なんでしょうけど。
染色体の異常はMDSもMPNもまったく一緒で区別はつきません。これからどっちかというのは言えないです

MPL-W515R.jpg

commentator01
mutationのコントロールはなんですか? 変異は, 対応する正常の細胞と比較しなければわかからないですね。

speaker
正常voluntierの骨髄細胞や, 患者さんの混在する正常骨髄細胞がコントロールなんですが… (cosmicなどのdata base や文献からのMPL W515 mutationの情報をもとに検索している)

commentator01
MPL W515Rの変異が加齢現象じゃないかという疑問です。

commentator02
(この変異の)機能解析はされていない? 一般的に。

speaker 未だにrareなmutationなのでされていないと思います。

commentator02 この例では, 実際は正常な細胞もあってアレルバーデンとすればおそらくhetero以上になっていると考えられますね

speakerからの, 本例転座についてのcommentと疑問(これは後出しでdiscussionにはありません)

  • 22番染色体はアクロセントリック染色体であり22p12にはribsomal RNA遺伝子の繰り返し配列が含まれています。
    この消失は、ribosomal RNA遺伝子のhaploinsufficiencyを起こす可能性はないでしょうか?5q-のRP14sのhaplofinsufficiencyのように。
MLPexon10.jpg

commentator03--骨髄組織所見と診断について.

本例のclot sectionです. cellularityは通常のMPNに比べるとだいぶ低いですよね. ETは, WHO blue book改訂版にあるように, 他のMPNよりもcellularityが低いのが特徴です.
M/E比は・・・ASD染色で簡単に見えます. myeloid hyperはhyperなんだけど, 通常のPV, PMF, atypicalCMLなんかの場合は M/Eが非常に高くてerythroidがわずかしかないのが特徴ですが, 
ETの場合だけはM/Eがそれほど高くないという記載があります. この症例はerythroid isletも残り, 若干myeloid hyperなんだけれど,erythroidがかなり多い

Mgkは核異型を伴う成熟型が増えますが, PMFとの違いはdens clusterがあるかないかが重要で, 本例ではdens clusterはありません.

組織像からはET. cellularityが高くないのでMPL変異は当然考えられる. 末梢血も血小板の単独増多ですのでこのへんがポイントになります. Mgkについて,CD42bなどの免染をすると核がはっきりして, 核異型が浮かび上がってみえ判定が容易になります。

MPNのときは血小板凝集が出ます。大型の血小板凝集像が出るときは, MPNのときの血小板増多のときの特徴.

JAK変異例と比べるとcellularityが低いので MPL, CALRは組織像からもうたがう所見です. 

芽球はこういう症例では増えません. 前症例の芽球のdistributionとくらべると, この例のようにevenにぽつりぽつりと存在するのが標準の芽球分布の像です. unevenなdistributionというのが myeloid neoplasiaの特徴です. controlを立てるとわかりやすい.

病理診断はETでMDSは考えなくていいんじゃないかなというか・・・そもそも末梢血血球減少がないんで,なかなかMDSのクライテリアを満たさない. (診断は)MPNの単独で・・・ MPLがfunctionalかどうかですが我々のファイルのMPL変異例と像は基本的に一致しているのでMutationサイトが違っていても, これはたぶんMPLはfunctionalと思います。STAT5のリン酸化をみると活性化されていればMPLは動いているんで, 意味がある変異(かどうかわかる)と思います

以上骨髄組織病理診断では, おもしろい染色体異常をもつ稀なMPL変異のETでいいかなと考えます。

chair man
MDSを示唆する形態異常が乏しいのでETでいいんじゃないのかなと思いました。


添付ファイル: fileNo11TokyoBM03-morphology.pdf 523件 [詳細] fileMLPexon10.jpg 544件 [詳細] fileMPL-W515R.jpg 565件 [詳細] fileNo11TokyoBM-case.pdf 548件 [詳細] fileSmas-46XYgray.jpg 553件 [詳細] fileSmas-karyotype-A-gray.jpg 563件 [詳細]

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Last-modified: 2017-08-23 (水) 20:31:34 (1557d)