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TCRβ遺伝子再構成のDNA-base PCRによる検出

BIOMED-2 project in 2002 PCR-based clonality studies in lymphoproliferation*1

TCRβ gene rearrangement

  • TCRβ gene rearrangementはほとんどの成熟T細胞悪性腫瘍のみでなくCD3陰性 T-cell ALLの約80%,CD3陽性 T-cell ALLの95%に検出される。
  • TCRβ gene rearrangementはT細胞系統のみではなく, 1/3のprecursor B-ALLに出現する。この陽性率は成熟B細胞腫瘍では0-7%と低くなる
     
  • TCRβlocusは7番染色体の長腕, 7q34に位置し, 685bpの範囲にわたる。TCRγ, TCRδlociと対照的にTCRβのV領域遺伝子クラスターは非常に複雑である。

    Vβ遺伝子は65個の要素よりなり2つの命名法が存在する(by Arden/ by Wei)。Vβ遺伝子は34種のファミリーに分けられている。Vβ遺伝子を30種のファミリーにわける別の命名がRowenらにより提案され, IMGTに採用されている。

    Vβ5---7, Vβ6---9, Vβ8---5, Vβ13---8 の大きなファミリーのほか, 12のVβは単一メンバーからなる。Vβ遺伝子要素のうち39-47は機能的で, 23のファミリーに属している。

    7-9の非機能性Vβ遺伝子要素はORFをもっているが, splice部位, recombination signal, および/あるいは制御要素に変化を有している。

    すべての遺伝子要素のうち10-16個は偽遺伝子である。加えて6個の非機能性孤立Vβ遺伝子クラスターが9p21に局在していると報告されている。これらの遺伝子に転写は認められていない。

  • 1個をのぞくすべてのVβ遺伝子が2つのDβ-Jβ-Cβクラスターの上流に位置している。

    Dβ遺伝子(Dβ1とDβ2), Jβクラスターは両方のCβ遺伝子セグメント(Cβ1, Cβ2)の前に位置している。

    Jβクラスターはおのおの6個(Jβ1.1-Jβ1.6), 7個(Jβ2.1-Jβ2.7)の機能性Jβセグメントから構成されている。

    Jβregion lociはシークエンスの類似性ではなく, 遺伝子の位置により2つのfamilyにわけられている。

  • TCRβgeneの再構成はgerm lineの多数のレパトアによりTCRγ, TCRδと比較して膨大になる。

    平均3.6(Vβ-Dβ結合), 4.6(Dβ-Jβ結合)個のヌクレオチドが加わるか, 3.6(Vβ), 3.8(Dβの5'),3.7(Dβの3'), 4.1(Jβ)個のヌクレオチドが欠損することで 元々レパトアがより拡大される。

  • Vβ, Dβ, Jβセグメントの結合により完成したhypervariable regionは9ないし10のコドンより特徴的に構成されている。IgH CDR3にみられる広範なレパトアとくらべるとサイズのバリエーションは限られていて, すべての機能的な再構成の80%以上を7から12個の残基がつくっている。
  • T細胞分化早期に2つの連続するTCRβ再構成がおこる。DβがJβに、次いでVβがDJβに再構成する。1−2日の期間でこの再構成がおこなわれる
  • Dβ1遺伝子セグメントはJβ1, Jβ2セグメントのいずれにも結合する。しかしDβ2遺伝子はTCRβ遺伝子座の位置のため, Jβ2のみにしか結合しない。

    2つの連続するTCRβ D-Jクラスターが存在するために, ひとつのアリル上に2つの再構成が検出されることがある。すなわち完全または不完全なTCRβ Dβ1-Jβ1部分の再構成に不完全TCRβ Dβ2-Jβ2が加わる。

  • 再構成に使われるTCR遺伝子セグメントの偏り

    TCRβ再構成ではランダムではない、不均一な遺伝子セグメント使用が認められる。

    健康な個体の末梢血T細胞ではVβ1-Vβ5などの使用が優先される。

    一方, Vβ11,16,18および23の使用頻度はごく少ない。

    成長の間, Vβレパトアの平均は保たれているが, 高年齢になるにつれて、使用にかたよりが認められるようになる。

    胸腺にも, Vβ遺伝子セグメントのかたよりがあり, Vβ3-1, Vβ4-1, Vβ5-1, Vβ6-7, Vβ7-2, Vβ8-2, およびVβ13-2の7個が機能的TCRβすべてのほぼ半数をカバーしている。

    Jセグメント使用も不均一であり, Jβ2ファミリーがJβ1ファミリ−より多く使用されている(TCRβ再構成の72% vs 28%). とくにJβ2.1が多く(24%), Jβ2.2(11%), Jβ2.3, Jβ2.5(各々10%)がそれに次いで用いられる

  • T細胞悪性腫瘍においてTCRβ再構成のパターンが異なる。

    完全TCRβ-VβJβ1再構成とTCRβ Dβ-Jβ2クラスター内の不完全再構成アリルの出現は、CD3陰性T-ALLまたはTCRγδ陽性T-ALLにくらべ, TCRαβ陽性T-ALLにより多く検出される。

    すべてのT-ALLグループでprecursor-B-ALLでのcrosslineage TCRβ遺伝子再構成と対照的にTCRβ-DβJβ1再構成が優位になる。B-ALLでのTCRβはDβ-Jβ2部分である。

  • TCRγの再構成によるclonality判定はJunctional diversityが限られているので, 正常T細胞の混在によるバックグラウンドの増幅が高頻度に認められる。一方TCRδ遺伝子は成熟T細胞悪性腫瘍では多くが欠失してしまっている。

    これらの理由からDNAベースのTCRβ PCRによるclonality判定方法の確立が期待されBIOMED-2 projectとなった。

BIOMED-2 projectでは

TCRβのPCRをおこなうため23個のVβ primerと13個のJβ primer, 2個のDβ primerを準備。3本のチューブで反応を起こすように設定した。

  • tube1 は23Vβprimers mix+JβA primers mix
  • tube2 は23Vβprimers mix+JβB primers mix
  • tube3 は2個のDβprimer mix+13Jβ primers mix

*1 Design and standardization of PCR primers and protocols for detection of clonal immunoglobulin and T-cell receptor gene recombinations in suspect lymphoproliferations: report of the BIOMED-2 Concerted Action BMH4-CT98-3936. van Dongen JJ, et al. Leukemia. 2003 Dec;17(12):2257-317.

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:20 (2609d)