Multiple myeloma - up date

 

POEMS症候群

 

形質細胞腫類縁疾患. 頻度は形質細胞腫の1〜2%程度. 人口10万人あたりの有病率は0.3(2003年)の希少疾患とされる.欧米にくらべ発症報告はやや多い.
男女比は 1.5〜2 : 1. 発症年齢中央値は50歳. MMに比べて10年ほど若い.*1

 

Polyneuropathy; 多発神経炎

Organomegaly; 肝脾腫などの臓器腫大

Endocrinopathy; 内分泌障害

Monoclonal gammopathy; 単クローン性γグロブリン血症

Skin changes; 皮膚症状

 

進行性の末梢神経障害によりADLが著しく障害され四肢麻痺や体液貯留をきたし, 多臓器不全にいたる予後不良の疾患.
厚生労働省指定難病.(2015年〜)

  • 1956年 Crowは多発性骨髄腫に末梢神経障害を合併した2例を報告
     
  • 1968年 深瀬らにより「多発性神経炎及び内分泌異常を惹起した孤立性骨髄腫」の報告
     
  • 1983年 厚生省神経疾患研究委託費「末梢神経障害の病態とその治療に関する研究」我が国におけるCrow-Fukase症候群102例の臨床的解析が報告された。
     
  • 1995年 高月は上記の102例に1991年までに報告された56例を加えた臨床像を検討

Crow-Fukase症候群, 高月病, PEP(pigmentation,edema,polyneuropathy/ plasma cell dyscrasia)症候群, POEMS症候群などの名称は同一の疾患をさしている.

 
 
  • POEMS症候群の骨髄中形質細胞は, 多くの症例で5%未満と少ない. 腫瘍性形質細胞を検出することが難しい.
    (POEMS症候群の診断基準に骨髄所見は組み込まれていない.)

    POEMS症候群のほか, ALアミロイドーシス, monoclonal gammopathy of renal significance(MGRS)などCRAB症状があっても増殖結節以外が採取されると形質細胞が数%のことがある.
    骨髄形質細胞比率が低い疾患では, 慎重な診断が求められる.

  • 血中, 尿中のMタンパクを検出し, 形質細胞のclonalityを証明とし, 診断の補助とする.
     
  • POEMS sxの単クローン性免疫グロブリン量は非常に微量であり正常免疫グロブリンが抑制されていることは少ない.
     
  • POEMS sxの単クローン性免疫グロブリン検出には, 免疫電気泳動が推奨される.
     
  • POEMS sxに検出される重鎖は, IgAまたはIgGが半々であり, 軽鎖はほぼ全例(≧90%の記載をする教科書もある)で「λ型」である.

この lambda型 再構成軽鎖は, Vλ1 subfamilyに属し, さらにVλ1-40, Vλ1-44のわずか2種類の特定のgermline遺伝子と相同性が高いことが示されている.*2

 
  • 多発神経炎

POEMS症候群の最も重要な臨床徴候.

進行性の四肢のしびれ, 疼痛, 脱力を生じ, 歩行困難となる. 初診で,神経内科を受診することが多い.

慢性炎症性脱髄性多発神経炎(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy; CIDP)が左右対称性の多発末梢神経障害をきたし,鑑別が必要となる.

POEMS症候群では, 下肢痛, 筋委縮, 遠位優位の脱力の頻度が高く, 深部反射低下, 鶏歩, Romberg徴候などがみられる.

両疾患とも,末梢神経の脱髄がみられるが, POEMS症候群では, 神経伝導速度検査で, 神経遠位端よりも神経幹での脱髄所見が優位という特徴がある.

 
  • 血液中VEGFが高値を示す.

1996年に本症候群患者さんの血中VEGFが異常高値を示すことが報告された.*3

VEGFは患者血小板に高濃度に蓄積され, 生理的刺激により局所で放出されることが示されている.

VEGFはPOEMS症候群の特徴的症状にかかわっていると推測されている.

治療が奏功すると血小板からのVEGF放出が低下し, 血清VEGFも低下する. VEGFは病勢の評価に有用であり治療効果判定にもちいられる.

腫瘍性形質細胞がVEGFを産生している証拠はなく, VEGF産生, 増加の機序は不明である.

POEMS症候群にはVEGF以外の多くのサイトカインが病勢悪化などに複雑に関与していることが示されている. IL-12は病勢と相関するバイオマーカとしてもちいられる*4.

多彩なサイトカインが病状に関与しているため, 抗VEGF抗体の治療効果はきわめて限定的である.

 
  • 骨硬化病変

POEMS症候群には骨硬化病変を伴うことが多いが, 小さな骨病変の同定が難しく, 合併率の報告には27-97%と幅広い.

24例の骨病変を伴うPOEMS症候群で36%の症例では, X線検査のみでは骨病変が検出できずCTの重要性が指摘されている.

PET/CTの集積が骨硬化病変には乏しいことがある. PET/CTは, 新規病変検出や, 既知病変のfollowには有用であるが, 病勢の評価はPET/CT単独ではおこなわず, 臨床症状や他の検査と総合的に行う必要がある.

孤発性形質細胞腫との鑑別では, POEMS症候群では, 骨硬化像とともに, 神経症状がつよいこと, 軽鎖がλにかぎられることを参考とする.

 

POEMS症候群の診断基準

mayo-POEMS2014.jpg
 
 
  • 必須大基準と, その他の大基準1つと小基準1つを満たせば, POEMS症候群と診断できる.
     
  • Castleman病とPOEMS症候群両者の基準を満たす場合は, 末梢神経障害と形質細胞のclonalityがあればPOEMS症候群に分類する.
     
  • 甲状腺機能異常と糖尿病は有病率が高いので, 単独では小基準として扱わない.
     
     
  • 血小板増多; 骨髄検査で50%の症例がMGUSや骨髄腫と鑑別が可能. Castleman病の合併がない限り, 貧血や血小板減少は伴わない。

TAFRO症候群との関係が興味深い.

 

Case presentation

74year-old Female

サムネイル画像のクリックで大きな画像がみられます.

骨髄病理所見; 骨髄腫の所見は明らかではない.

CD138-SzMt.jpg(94.2KB)kappa-SzMt.jpg(115.4KB)lambda_SzMt.jpg(109.9KB)
CD138kappa-ISHlambda-ISH

Bone marrow clot sectionでは, CD138陽性plasma cellは7.8%(左のparticleは11%, 右のpartilceは4.8%, 平均). 7-8個ほどの形質細胞からなる微小な凝集巣(〇)がみとめられる.

kappa, lambda-ISHでは、明瞭なdeviation (POEMS症候群ではlambda優位の可能性が大なはずであるが…)は, 認められない.


*1  高石浩司ほか POEMS症候群の診断と治療 形質細胞性疾患の病態と治療 血液内科 2017;74(2):232-238
*2  Abe D, et al. Restrictive usage of monoclonal immunoglobulin lambda light chain germline in POEMS syndrome.Blood. 2008 Aug 1;112(3):836-9.
*3  Watanabe O, et al. Greatly raised vascular endothelial growth factor (VEGF) in POEMS syndrome. Lancet. 1996 Mar 9;347(9002):702.
*4  Kanai K, et al. Markedly upregulated serum interleukin-12 as a novel biomarker in POEMS syndrome. Neurology. 2012 Aug 7;79(6):575-82.

添付ファイル: filemayo-POEMS2014.jpg 2件 [詳細] filelambda_SzMt.jpg 4件 [詳細] filelambda_SzMt_s.jpg 1件 [詳細] filekappa-SzMt.jpg 4件 [詳細] filekappa-SzMt_s.jpg 1件 [詳細] fileCD138-SzMt_s.jpg 2件 [詳細] fileCD138-SzMt.jpg 6件 [詳細]

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Last-modified: 2019-02-18 (月) 09:59:29 (2d)