血液腫瘍病理学

小児MDS

小児MDSの特徴--成人MDSと異なる点.

  1. RARSや-5q症候群が極めてまれ. 5番染色体長腕欠損は小児にもあるが, 成人で認められる予後良好な-5q症候群は小児ではみられない.
     
  2. 真のクローン性異常によるRARSはほぼ認められない. 小児でRARSを疑う場合はPearson症候群などのミトコンドリア異常症ヘム合成障害の除外が必要.
     
  3. 小児MDSはFanconi貧血など遺伝性骨髄不全症候群やDown症などの先天性疾患に合併することが特徴的.
     
  4. 小児特有のMDS/MPDであるJMML(Juvenile Myelomonocytic Luekemia)Neurofibromatosis1(NF1)やヌーナン症候群などに生じうる.
     
  5. 悪性腫瘍に対する化学療法・放射線治療、AAに対する免疫抑制療法などに続発しうる。

これらの成人MDSと異なる特徴を考慮し, ヨーロッパ小児MDS研究グループ (EWOG)は2003年に小児独自のMDS/MPD (骨髄増殖性疾患)病型分類を提案した.*1
2016WHO分類第4版においてもこの分類が採用されている.*2

2016WHO分類では, 小児MDSが新たに独立した群としてとりあげられた。
refractory cytopenia of childhood(RCC)は ドイツのBauman, Niemeyerらが(強引に)とりいれたprovisional entity.

ヨーロッパは小児MDS=すべてRCCとしているがそれはおかしい。定義にしたがって, 小児にも成人のRCMDに相当するものがありきちんと分類すべき
次回の分類から小児のRCCはRCとRCMDにわけられると思われる.(第二回東京骨髄病理研究会 伊藤雅文先生講演から)

 
 

芽球増多を伴わないMDS--refractory cytopenia of childhood: RCC

小児の芽球増多を伴わないMDSは成人例とことなる以下の特徴をもち, 2016WHO分類でRCCという暫定病名が与えられた.

1. 貧血単独ではなく, 多系統血球減少をきたすことが多い.

2. 骨髄はしばしば低形成を示す

3. 異形成が多系統におよぶことの意義があきらかでない. (成人では, 異形成が多系統におよぶ症例は予後不良であることが示されている*3 成人にみられるRCMD(refractory cytopenia with multilineage dysplasia)もRCCとして扱われる.(問題点)

RCCは遷延する血球減少を呈し,

  • 芽球は骨髄 <5%, 末梢血 <2%.
  • BM smearにおいて2系統以上の異形成か1系統に10%以上の細胞に異形成をみとめることが必須とされている.

RCCは小児primary MDSの約50%を占める.

乳児期から思春期まで全年齢で発症し出血症状や発熱などをきたす. 約20%は無症状で偶然発見される.

多系統におよぶ血球減少と低形成骨髄を示すaplastic anemia(AA)やIBMFSなどとの鑑別が必要になる.

smear標本のみでは鑑別が困難で, 骨髄生検が必須となる.

RCCの多くは正常核型. -7が最も高頻度で有意に病期進行がおこる. trisomy8や正常核型は比較的安定した経過をとる.

 

芽球増多を伴うMDS

小児の芽球増多を伴うMDS, refractory anemia with excess of blasts;RAEB(末梢血芽球 2-19%, 骨髄 5-19%)とRAEB-T(末梢血または骨髄中芽球 20-29%)の治療成績に差が認められない. *4

AMLと鑑別するcut-off値として, WHO分類が採用している20%ではなく, FAB分類が定義していた30%をもちいることが多い.

WHO分類は RAEB-1(骨髄中芽球 5 - 9%), RAEB-2(骨髄中芽球10-19%)を区別しているが小児では両群生存率に差はみられない.

多系統血球減少を呈し, 一般に白血球増多や臓器腫大を認めることはない. 鑑別にAMLやMPDが問題となり骨髄生検をおこなう.

60%以上に核型異常が認められる*5. −7が最も多い.

−7や+8など染色体数的異常のみで構成される複雑核型異常(3種類以上の核型異常)の予後は悪くない.一方 1つ以上の構造異常(部分欠失や不均衡転座など)を含む複雑核型異常を示す症例の予後は極めて不良である.*6

Bone marrow failure of the childhood 小児造血不全

日本小児がん・血液学会により2009年から行われているAA, MDS中央診断事業の1700をこえる症例について, 末梢血, 骨髄細胞形態診断および骨髄病理診断がレビューされた.

伊藤により, 中央診断の骨髄病理診断についての総括が2017年に論文報告されている.*7


*1  Hasle H, et al. A pediatric approach to the WHO classification of myelodysplastic and myeloproliferative diseases. Leukemia. 2003; 17:277-282.
*2  Baumann I, Niemeyer CM, Bennett JM, et al. Childhood myelodysplastic syndrome. In: Swerdlow SH, et al. World Health Organization Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 4th edn. Lyon: IARC Press, 2008; 104-107
*3  Germing U, et al. Prospective validation of the WHO proposals for the classification of myelodysplastic syndromes. Haematologica. 2006 Dec;91(12):1596-604.
*4  Strahm B, et al. Hematopoietic stem cell transplantation for advanced myelodysplastic syndrome in children: results of the EWOG-MDS 98 study.Leukemia. 2011 Mar;25(3):455-62.
*5  Hasle H, Niemeyer CM.Advances in the prognostication and management of advanced MDS in children. Br J Haematol. 2011 Jul;154(2):185-95
*6  Gohring G, et al. Complex karyotype newly defined: the strongest prognostic factor in advanced childhood myelodysplastic syndrome. Blood. 2010 Nov 11;116(19):3766-9.
*7  伊藤雅文 小児造血不全症の病理中央診断 第78回日本血液学会学術集会 symposium 5 Clinical aspects and basic research of MDS: Current situation and future 臨床血液 2017; 58: 661-668

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Last-modified: 2020-02-06 (木) 21:46:29 (63d)