precursor lymphoid neoplasm †WHO 4th ed. 分類 リンパ芽球性白血病/リンパ腫(acute lymphoblastic leukaemia;ALL/ lymphoblastic lymphoma; LBL)は, BあるいはT細胞系統へコミットメントが決定した初期の段階にあるリンパ球前駆細胞(リンパ芽球; lymphoblasts)の増殖による腫瘍である.
WHO 4th, revised ALL/ LBL分類 B-lymphoblastic leukaemia/ lymphoma, NOS B-lymphoblastic leukaemia/ lymphoma with recurrent genetic abnormalities
T-lymphoblastic leukaemia/ lymphoma
NK-lymphoblastic leukaemia/ lymphoma (NK-ALL/LBL) *暫定項目
治療のため層別化すべき造血器腫瘍の病型として, ph+ ALL/ ALL with bcr-abl1があげられている. ALL, acute lymphoblastic leukaemia/ lymphomaの病理組織診断 †ALLの診断: IHCによるアルゴリズム診断(第19回日本病理学会中部支部スライドセミナ 伊藤雅文先生講演から) Terminal deoxynucleotidyl transferase: TdT DNA合成酵素の一つであるTdT(terminal deoxynucleotidyl transferase)は未熟リンパ球や胸腺リンパ球に発現している。TdTはヌクレオチドを付加して免疫グロブリン遺伝子、あるいはT細胞受容体遺伝子の多様性を増す働きをしている。急性リンパ性白血病では9割以上で陽性であり、リンパ腫としてはリンパ芽球性リンパ腫の診断根拠となる所見. 胸腺腫vs胸腺癌の鑑別:胸腺腫では上皮とTdT陽性胸腺リンパ球の共同増殖であるので介在するリンパ球はTdT陽性。一方で、胸腺癌では上皮単独の増生となり、リンパ球は反応性であってTdT陰性。胸腺腫では上皮はCD5陰性、胸腺癌では70%程度陽性であることと合わせ、良悪性の鑑別に有用. Case presentation: T-ALL †IWT case. 30歳代女性 骨髄組織所見 サムネイル画像のクリックで大きな画像がみられます. 脂肪細胞はほぼ消失, prominent hypercellular marrow. ca 100%. 正常造血は強く抑制されている. 骨髄組織免疫染色 CD34が増殖芽球様細胞にびまん性に陽性. TdTは50-60%に陽性. CD7びまん性陽性. CD3とCD5が芽球の一部膜性に淡く陽性を示している. 骨髄smearの細胞所見 T acute lymphoblastic leukaemia (T-ALL) T-ALLは小児ALLの15%を占め, 年小児よりも思春期に多く, 男性の頻度が高い. 成人ではALLの25%を占める. T-ALLは骨髄浸潤の他, しばしば縦隔その他の臓器に腫瘤を形成する. リンパ節腫大や肝脾腫もしばしば認められる. 白血球数は通常高値を示す. T-ALLではB-ALLに比較して正常な骨髄造血巣が保たれる傾向がある. 小児T-ALLは寛解率が低く, 早期再発, 中枢神経再発率が高い. 小児B-ALLに比較して高リスク疾患と考えられている. 小児T-ALLでは白血球数は予後因子とはならず, 治療後の残存微小病変が強力な予後不良因子である. 成人T-ALLは小児T-ALLと異なり, B-ALLに比して予後良好である. T-lymphoblastic lymphoma(T-LBL) LBLの85-90%を占める. どの年齢にも発症するが, 思春期男性に多い. 縦隔(胸腺)に浸潤することが多く, それ以外にリンパ節, 脾臓, 肝臓, 扁桃, 中枢神経, 精巣などに浸潤する. T-LBLの前縦隔腫瘤は急速に増大し気道圧迫, 呼吸困難をきたすことがある. 胸水もしばしば認められる. T-LBLの予後は他のリンパ腫と同様に年齢, 病期, 血清LDH値などによる. T-LBLの中に低悪性度の少数例がある. Early T-cell precursor lymphoblastic leukemia (ETP-ALL) まれな白血病. 小児T-ALLの10-13%, 成人T-ALLの5-10%を占める. phenotypeは(従来のpro-T, pre-Tのphenotypeをあわせたもの), CD7+, CD8-, CD1a-で, 骨髄系・幹細胞マーカのCD34, c-KIT, HLA-DR, CD13, CD33, CD11b, CD65のうち一つ以上を発現する. cCD3は陽性. まれにsCD3陽性. CD2 and/or CD4陽性のことがある. CD5は陰性の場合が多いが <75%の芽球が陽性を示す場合がある. MPOは定義上陰性. MPO陽性の症例は T/myeloid MPALの診断基準に合致する可能性が高い. 治療反応性は他のT-ALLと大きく異なるが, 適切に治療された場合は, 最終的な転帰に有意な差はみられない. |