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肺血栓塞栓症 Pulmonary thromboembolismと肺梗塞 Pulmonary infarction

血栓や,他の塞栓子が静脈血流で移動, 肺動脈本幹やその分枝を閉塞し肺循環障害を来した病態。

肺梗塞は肺塞栓症の結果、肺組織に出血性壊死をおこした状態。通常肺組織は肺動脈と気管支動脈による二重の血液供給を受けており肺組織の壊死をきたす肺梗塞の頻度は肺塞栓症の10%以下と低い。

肺血栓塞栓症の病態生理

1. 肺血管抵抗増大による肺高血圧症を起こす

塞栓による肺動脈閉塞でおこる肺血管床の総横断面積減少と低酸素血症および化学物質、血小板から分泌されるセロトニンの他トロンボキサンA2(白血球, 肥満細胞, 血小板のほかおそらく血管内皮も産生する)による肺血管収縮が肺血管抵抗増大の二大原因と考えられる。
右心室が心拍出量を代償するのに十分な圧を生み出せないほどの急激な肺血管抵抗増大により低血圧となり, 中心静脈と平均右房圧は増大する。
心原性ショックは肺血管床の少なくとも50%から通常75%それ以上を減少させる大きな塞栓をおこし, 先行心肺疾患のない患者におこる
重症低血圧, ショックになると平均中心静脈圧は低下する。

肺血管抵抗増大により肺高血圧が起こる。肺血管抵抗増大に対して正常心拍出量を維持するために右心室はより高い肺動脈圧を生み出す必要がある。
高度肺高血圧症(平均肺動脈圧>25mmHg)は健常だった肺に30-50%を超す肺動脈樹閉塞をきたしたときに起こる。
肺高血圧症は基礎にある心疾患(僧帽弁狭窄症, COPD等)により重症となり, 一般に高い血圧となる。
急性塞栓症で肺動脈収縮期圧は100mmHgまで上昇することがある。

2. 過多呼吸

しばしば呼吸困難を伴い, PTEのぼぼ必発症状. 肺胞間質間隙が腫大し肺胞毛細血管膜内の傍毛細血管受容体が刺激されると迷走神経求心路の活動が増大して延髄呼吸中枢が刺激される。肺胞換気亢進となるが肺動脈閉塞により血液還流はなくなるため無駄な換気となる。

3. 動脈血低酸素症

肺胞サーファクタントが塞栓発症後数時間以内に枯渇するために肺気量と肺コンプライアンスが減少する。肺コンプライアンスの低下は吸気ガスの肺胞への均等な分布を障害する。肺気量減少と気道PCO2低下が誘因となって気管支収縮がおこり呼気性喘鳴をきたす。これらの変化は肺低換気をおこすと考えられPTEの影響を受けていない部分的あるいは完全無気肺領域による右左シャントは低酸素症をきたす。

  • 気管支動脈は終末細気管支までの気道に水分・栄養を供給する
  • 気管支動脈は肺動静脈, 胸膜, 肺葉間中隔などの栄養を供給する
  • 気管支動脈は大動脈から分岐し, 大動脈圧とおなじ血圧で肺動脈圧よりも高い
  • 気管支循環血液量は心拍出量の約1%以下であるが肺組織には十分量である
  • 気管支動脈血流量の半分は気管支静脈を経て右心房に還流し残りの半量は気管支肺動脈吻合を介して肺静脈にはいり正常の静脈混合となる(右左シャント)
  • 気管支循環は吸気ガスを加温加湿する働きをして肺胞表面の水分蒸発を防ぐ。

換気/血流(Vdot/Qdot)不均衡が低酸素血症の原因となる
正常人でも換気/血流は決して均一ではない。ある領域は換気過剰であり, ある領域では換気が不足しているしているのが正常の状態である。換気/血流不均衡の最も極端な例は無駄な換気wasted ventiration(Vdot/Qdot=∞)で, PTEは換気のある肺胞に血流を供給できないことで無駄な換気を誘発し低酸素血症をきたす。
換気/血流分布が適正かどうか判定するにはPAO2-PaO2較差(正常10-15mmHg)により評価する。

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:20 (1331d)