静岡病理医会
多数の腺管構造を伴った下垂体腫瘍の一例 †
浜松医科大学病院病理部 木下真奈 他
50歳代男性
複視, 左眼瞼下垂, 左目奥の痛み
平成X年3月中旬, 突然複視が出現し増悪, 左眼瞼下垂, 左目奥の痛みが加わり近医で左動眼神経麻痺を指摘される。頭部MRIで下垂体腫瘍が認められて左海綿静脈洞方向へ進展していた。手術目的に入院となる。
血中ホルモン検査(GH, PRL, ACTH, FSH, LH, ADH, IGF-I, cortisol, TSH, fT3, fT4 )は正常範囲内であった。
病理組織所見 †
■Virtual Slide--->下垂体腫瘍 (右クリックで新しいウィンドウで開くと便利です。Sign as guestでログインして下さい。)
Speaker's Diagnosis
Pituitary adenoma with rich folliculo-stellate cells and duct-like epithelia
ミクロ所見では前葉内分泌細胞様細胞の増生と腺管構造の増加が認められた。内分泌細胞様細胞はFSHが免疫染色で陽性となりFSH産生下垂体腺腫と考えられる。
腺管構造はCAM5.2強陽性を示しHEではわかりにくかった多数の腺管構造が見られた。
腺管構造の由来について考える
正常でも中間部に濾胞様構造があるが,それが巻き込まれたとするには腺管の量が多すぎるということで、その由来について考えると
↓
1.唾液腺の迷入
2.ラトケ嚢の遺残
3.濾胞星細胞folliclo-stellate cells