静岡病理医会

Idiopahtic mesenteric phlebosclerosis--SPS225-Case05

静岡赤十字病院病理 笠原正男

症例

80歳代男性

「多発性大腸憩室を伴う非特異性大腸潰瘍の診断で約3年間経過観察後汎発性腹膜炎の疑いで緊急開腹手術が行われた静脈硬化症による虚血性大腸炎の一例」

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非特異性大腸潰瘍のため消化器内科に通院中, 右下腹部痛が発現, 持続するため救急外来受診。精査の結果大腸イレウスまたは虫垂炎合併が疑われ入院. 腹痛発症より2日め緊急開腹, 全結腸切除+洗浄ドレナージ留置が行われた。

左:腸間膜に散在する石灰化像で石灰化した血管の断面と考えられる。
右:腸管壁肥厚と血管石灰化

病理組織所見

粘膜下組織の静脈がリング状に線維性肥厚し内腔が狭窄している

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特発性腸間膜静脈硬化症

腸間膜静脈硬化に起因した還流障害による慢性虚血性大腸病変(右側結腸優位)とされる疾患で, 近年本邦で報告され疾患概念が確立された比較的まれな原因不明腸疾患。

  • 1979, Futami 腸間膜血管閉塞症
  • 1988, Koyama 右側結腸を中心とする虚血性腸炎 胃と腸23:434, 1988
  • 1988, Maeda 石灰化を伴った静脈硬化症による虚血性大腸炎 胃と腸24: 422, 1988
  • 1991, Koyama 慢性的経過を呈した右側狭窄型虚血性大腸炎の一例 胃と腸 26: 455-460, 1991
  • 1993, Iwashita 原因別にみた虚血性腸病変の病理形態. 胃と腸 28: 927-941, 1993
  • 2003, Iwashita Mesenteric phlebosclerosis: a new disease entity causing ishcemic colitis. Dis Colon Rectum 46: 209-220, 2003

特集「特発性腸間膜静脈硬化症- 概念と臨床的取り扱い」胃と腸 Vol44, No2, 2009

  • 年齢28-86歳, 平均61歳. 男女比30: 37 (n=67)
  • 発症は緩徐で腹痛・下痢・便秘・腹部膨満が主症状。下血・血便は少ない。
  • 罹患部位は回腸末端部より直腸に及ぶが右半結腸, 特に盲腸・上行結腸に強い病変が認められる

十分に完成された病変での画像所見

  • 腹部単純X-p: 右側腹部の線状石灰化像
  • 腹部CT: 大腸壁の肥厚, 腸管壁ないし腸間膜に一致した石灰化像
  • 注腸X-p: 壁硬化と不整, 管腔狭小化, 拇指圧痕像や粘膜浮腫状変化の所見

大腸内視鏡検査

  • 粘膜色調変化, 暗青色-赤色あるいは褐色。浮腫・狭窄, びらん・潰瘍, 血管透見像消失。

病理所見

  • 肉眼:半月ひだの腫大・消失, 腸壁の著明な腫大。表面・割面は暗紫色。潰瘍形成(縦走潰瘍ではない。)
  • 組織学的特長
    • 1. 静脈壁の著明な線維性肥厚と石灰化
    • 2. 粘膜固有層では血管周囲に著明な膠原線維沈着あり。粘膜下層の高度線維化。
    • 3. 主に粘膜下層小血管壁へのfaomy macrophage出現
    • 4. 随伴動脈壁硬化所見--肥厚と石灰化
    • 5. 血栓形成なし
    • 6. 炎症細胞浸潤はないか, ごく軽度。
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  • 粘膜固有層血管周囲膠原線維沈着静脈壁線維性肥厚の所見は生検での診断ポイント

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:20 (1330d)