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VEGF; vascular endothelial growth factor 血管内皮増殖因子*1

VEGFファミリーはVEGF-AからVEGF-Eおよび胎盤成長因子(PlGF; placental growth factor)の6種類のメンバーからなる。

  • VEGF-Aは狭義のVEGFであり, 生理的病理的な血管形成において中心的役割を担う因子。
    • homo二量体として胎生期の種々の細胞から分泌される
    • スプライシングの違いによりVEGF-A121, -A165, -A189, -A206などアミノ酸数が異なるいくつかのアイソフォームが存在する。
    • VEGF-A121はヘパリン結合活性をもたず, 拡散性が高い。
    • VEGF-A165は主要なアイソフォームでヘパリン結合活性をもち生物活性が最も高い。マウス実験では最も腫瘍血管誘導の効率が高い。
    • VEGF-A189, -A206はヘパリン結合性が高く拡散性に乏しい。
  • VEGF-C, VEGF-Dについては生理的リンパ管形成に必須で、癌におけるリンパ節転移への密接な関与が注目されている。

VEGF受容体

VEGF受容体にはVEGFR-1(/Flt-1), VEGFR-2(KDR/Flk-1), VEGFR-3(Flt-4)の3種が知られている。

  • VEGFRは受容体型チロシンキナーゼで発生段階の血管内皮細胞に発現する
  • VEGFとは異なる組み合わせで結合する(→ 表1)
  • VEGF-Aの活性は主にVEGFR-2を介しており, リガンドの結合による受容体の二量体化と細胞内領域のリン酸化によりシグナル伝達がおこる。
  • VEGF-1は最も高い親和性でVEGF-Aと結合するがシグナル伝達はせず, VEGF-Aを消費し, 負の調節をすると考えられている。
  • VEGF-A165はsemaphorin受容体のNP-1(neurophorin-1)とヘパリン結合ドメインを介して結合する
  • 血管内皮細胞のNp-1発現はVEGFR-2のシグナルを伝達を増強する
  • VEGF-A121はNp-1と結合しないためにVEGF-A165に比べ生物活性が低い。

VEGFとCrow-Fukase症候群*2

  • 血清VEGFは, Crow-Fukase症候群の多発神経炎, 臓器腫大, 浮腫・胸腹水, 皮膚症状と関連し,3つ以上の症状があれば高値を示す。
  • 病変摘出, 放射線治療, ステロイド他免疫療法により臨床症状が軽快すると血清VEGFは有意に低下する。
  • VEGFの産生は骨硬化性病変における形質細胞由来と考えられ、過剰生産されたVEGFは血中で主に血小板中に存在し血小板凝固により血清中へ放出される。このため血清中VEGFは血漿VEGFよりはるかに高値を示す。
  • Crow-Fukase症候群では慢性の血液凝固亢進状態が存在することがいわれ*3, その原因の一つにVEGFの血管内皮にtissue factorを発現させ*4 そのtissue factorによる凝固系活性化→凝固亢進→血小板からのVEGF放出という悪循環に陥っていることが考えられる。

*1 Ferrara N., et al.Am J Physiol Cell Physiol 280: C1358-1366, 2001
*2 Arimura K. et al., Brain and Nerve 60(6):611-619, 2008
*3 中原啓一ほか 臨床神経25:755-759, 1985
*4 Senger DR,et al., Am J Pathol 149:293-305,1996

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:21 (2606d)