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Vasculitis

血管壁に炎症(炎症細胞浸潤)をきたす病変を血管炎Vasculitisといいフィブリノイド壊死[血管壁にフィブリンが析出しその構造が破壊され不明瞭となる。内皮細胞も消失する]を伴うことがある. 発熱, 筋痛, 関節痛, 倦怠感など非特異的全身症状を呈するほか, 侵された血管の下流にある組織が壊死に陥ることによる局所障害を示す。
大動脈とその分枝, 中間サイズの血管を侵すこともあるが, 最も頻度が高いのは小型の脈管-細動静脈, 毛細血管病変をおこす小血管性血管炎small vessel vasculitisである。

選択的血管炎[=侵す血管の種類とサイズが限定されている]の分類と特徴

1.Large vessel vasculitis 大型血管性血管炎

  • 巨細胞性(側頭)動脈炎
    大動脈と, その一次分枝-特に頭蓋外の頚動脈分枝を侵す肉芽腫性動脈炎. しばしば側頭動脈病変を認める. ほぼ例外なく50歳以上に発症し, 高頻度にリウマチ性多発筋痛症を合併する。2/3は女性におこる。
  • 高安動脈炎
    大動脈と, その一次分枝を侵す肉芽腫性動脈炎.50歳未満に発症する。

2. medium-sized vessel vasculitis 中間サイズ血管の血管炎

  • classic type polyarteritis nodusa(PN) 古典的多発動脈炎
    中間サイズ動脈から小型動脈の壊死性炎症をきたす。腎糸球体, 細動脈, 毛細血管, 静脈を侵すことはない。
  • 川崎病 Kawasaki disease
    大型, 中間サイズ, 小型動脈の血管炎を起こす.冠動脈病変が高頻度。大動脈, 静脈も侵されることがある。 粘膜皮膚症候群を伴う。小児の疾患。

3. small vessel vasculitis 細血管性血管炎

  • Wegener granulomatosis ウェジナー肉芽腫症
    気道の肉芽腫性炎症と細-中間サイズの血管(細動静脈,毛細血管,筋性動脈)に壊死性血管炎をきたす。通常, 壊死性糸球体炎が認められる。-->ウェジナー肉芽腫症のページへ
  • Churg-Strauss syndrome
    好酸球浸潤の強い肉芽腫性炎症が気道に発生し, 細-中間サイズの血管に壊死性血管炎をきたす。喘息がほぼ全例に発症.好酸球増多が認められる。-->Churg-Strauss症候群のページ
  • Microscopic polyangiitis 顕微鏡的多発血管炎
    細血管(毛細血管, 細静脈, 細動脈)を侵す壊死性血管炎を起こすが免疫沈着物immune depositは認めない(=pauci-immune)。小型-中間サイズの壊死性動脈炎

血管の種類とサイズ

動脈壁の層構造

artery02.jpg

動脈壁は血管腔側より, 内膜tunica intima, 中膜tunica media, 外膜tunica adventitiaの三層構造をしている。(右図, クリックで大きな画像が見られます)

内膜
一層の内皮細胞層が内腔面を連続して被覆する内皮と内皮下組織からなり内皮細胞にはバリア作用, 凝固線溶の調節, 血小板凝固抑制作用, 貪食作用(=脾・骨髄の内皮に認められる), 血管平滑筋弛緩因子放出など多彩な機能がある。内皮下組織は内弾性板, 結合組織, 少量の筋細胞から構成される。内弾性板により中膜と境される。

中膜
一層から数層の平滑筋細胞がおもに螺旋状に走行して中膜を構成し, プロテオグリカン, エラスチン, コラーゲンよりなる細胞外マトリックスを作り出す。 大動脈やその分枝, 肺動脈など血圧の変動を緩和する役目のある動脈では弾性線維が多く含まれている。筋性動脈では平滑筋による血管収縮弛緩の調節で血流を調節する。心臓から末梢の動脈にいくに従って中膜の弾性線維量は減少し平滑筋の量が増加する。外弾性板により外膜と境される。

外膜
中膜と外弾性板で仕切られ, 弾性線維, 膠原線維および平滑筋からなる緩く編まれた網状の層。さらに外側は明確な境界を持たずに周囲結合組織に移行する。静脈の外膜には縦走する結合織線維束があり厚い層を形成している。

血管の種類とサイズ


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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:21 (2609d)