LectureNote

骨髄間質組織

骨髄間質組織の構成細胞

細網細胞

通常の細網細胞と上皮性細網細胞がある。III型コラーゲンを産生しできた線維は細網線維(実体は径の細い膠原線維)となる。細胞質は豊富で長い突起を持ち、網目を形成する。

  • 細網細胞は付随する細網線維とともに骨髄実質組織内で互いに連なって網状のネットワークを形成し造血細胞の支持組織として働くと同時に造血細胞を髄内に定着させ, その分化誘導などに関与していると考えられている。
  • 細網細胞内のフィラメントはアクチンフィラメントと同一のものであり収縮により骨髄容積を変化させ造血細胞の静脈洞への移動, 血球の遊出を調節していると考えられる。
  • 細網細胞は骨髄のどこにでも存在するが静脈洞周囲には特に多く存在し内皮を裏打ちするように存在する。この部位の細網細胞を外膜細胞adventitial cellとよぶ。
  • 外膜細胞は静脈洞に平行の方向と造血実質方向に三方向の細胞突起を伸ばすことが多い。このような三角形の形をとることが多いこと以外に実質内の細網細胞と形態的な差はない。 外膜細胞は静脈洞全面を被っているわけではなくヒトではおよそ25%前後を被覆している。
  • 外膜細胞は脂肪を摂取して脂肪細胞となる。(脂肪細胞の起源は外膜細胞である
  • 骨髄にCXCL12を高発現する細網細胞(CAR細胞)が存在し, すべての骨髄内の洞様血管がCAR細胞に取り囲まれていることが報告された.  CAR細胞が,CXCL12の供給などにより,造血幹細胞,Bリンパ球前駆細胞や最終分化した抗体産生細胞である形質細胞のニッチ(特化した微小環境)として機能していることが示唆された((Tatsuki Sugiyama,et al. Maintenance of the Hematopoietic Stem Cell Pool by CXCL12-CXCR4 Chemokine Signaling in Bone Marrow Stromal Cell Niches. Immunity 25(6); 977-988, 2006)).
  • ケモカインCXCL12(SDF-1/PBSF)
    生理的受容体はCXCR4であり,CXCL12-CXCR4分子は,発生過程における骨髄での造血幹細胞や前駆細胞の移動・定着(ホーミング),始原生殖細胞の生殖腺へのホーミング,心形成,臓器特異的な血管形成,成体骨髄での造血幹細胞の維持,Bリンパ球の生成に必須である

脂肪細胞と脂肪髄

  • 胎児や新生児期では骨髄は細胞髄のみからできあがっているが, 加齢とともに長管骨では末端から中枢側にかけて脂肪髄化が進んでくる。
  • 脂肪髄化は脊椎骨では腰椎に最も強く, 椎体内では中心部が辺縁部より早く高度に脂肪化する。
  • 正常人では生涯,細胞髄なのは長管骨骨端部, 胸骨などの扁平骨や脊椎など短小骨の海綿質腔である。
  • 成人骨髄重量は2600g(体重の4.6%), およそ半量の1000-1500gが造血実質の細胞髄でもう半分が脂肪髄である。
  • 造血機能亢進では脂肪組織間に造血細胞が増殖し脂肪細胞は萎縮・消失する。
  • 造血機能低下状態では細胞髄が脂肪髄におきかわり脂肪髄化する
  • 造血細胞と脂肪細胞の消長は逆相関の関係であり脂肪細胞は骨髄造血の予備空間として働き細網細胞, マクロファージとともにストローマとして造血細胞を支持する
  • 脂肪細胞の起源は静脈洞(sinus)内皮細胞下に存在する外膜細胞である
  • 脂肪細胞細胞質には大型脂肪滴があり核は偏在している。脂肪滴の90%以上は中性脂肪である。
  • 低栄養状態では脂肪細胞の脂肪滴が栄養供給源として動員され脂肪滴が縮小し, 萎縮した脂肪細胞の周囲に無構造の蛋白物質が蓄積する。脂肪髄はゼリー状となり膠様髄(geratinous marrow)と呼ばれる。

マクロファージ

  • 核,細胞質は光顕で細網細胞と区別が困難であり細胞質の貪食(血球,核片,ヘモジデリン)物で認識されることが多い.
  • マクロファージは赤芽球島の中心に位置することが多い

静脈洞内皮細胞(sinus endothelial cell)

静脈洞を覆う一層の内皮細胞で核は楕円形で軽度凹凸があり時に核小体が認められる

  • 静脈洞内皮細胞の細胞質は長軸方向に細長く伸び核周囲にはゴルジ体, 粗面小胞体, ミトコンドリアなどが存在する。
  • 細胞質にはpinocytotic vesicleが広範に存在し, とくに洞側に多い
  • 直径6nm前後のactin filamentと同一のフィラメントが長軸方向に平行に分布し血球が静脈洞内に遊出するときに形成される小孔の付近に多い。放射状あるいは孔を取り巻くように存在する。
  • 静脈洞内皮と外膜細胞間には中等度電子密度の無定形物質内にフィラメントが種々の割合で混在する基底膜が認められる。基底膜は断続的に存在する
  • 静脈洞内皮細胞間にはある種の接合装置が存在するが血球はこの部分を通過するのではなく, 外膜細胞や基底膜のない部位で内皮の細胞質を貫通して洞内へ侵入する
  • 外膜細胞が内皮を裏打ちする率はエンドトキシンやエリスロポイエチン,瀉血などで減少し血球遊出を促進する。
  • 外膜細胞は収縮作用をもつフィラメントの存在で血球遊出調節に重要な役割をはたすと考えられる

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Last-modified: 2014-08-29 (金) 12:41:21 (1543d)