*Endocrine Pancreas 膵内分泌組織 [#zc512b01] ''血液グルコース濃度を調節するホルモン''を分泌する器官で''ランゲルハンス島 ilets of Langerhans''と呼ばれる細胞集団をつくり, 膵臓全体に見られるが''尾部に多い''。サイズは大小さまざまで, 数個から何百個の細胞から構成され, 総体積は膵重量の1-2%。多角形の細胞が短く不整なコード状構造を示し,窓の開いた毛細血管網が間質となる。膵ランゲルハンス島の内分泌細胞は''胎生9-12週''に確認されるようになる。 #ref(Langerhansilet.jpg,around,30%) ←クリックで大きな画像が見られます。ランゲルハンス島のHE染色像~ HE像でも小さめな細胞が辺縁に認められ、おそらくGlucagon産生のA細胞と考えられる。 #clear &color(#228B22){■};''ランゲルハンス島から分泌されるホルモン'' ランゲルハンス島のilet cellでは''Insulin, Glucagon, Somatostatin, Pancreatic polypeptide(PP)''の4つの主要なホルモンが産生される。~ おのおの1個の内分泌細胞は1種類のペプチドホルモンを産生する。Insulin(β細胞), Glucagon(α細胞), Somatostatin(δ細胞), Pancreatic polypeptide(PP)(PP細胞) ''Gastrin, vasoactive intestinal polypeptide(VIP)''は膵内分泌腫瘍Pancreatic endocrine neoplasmで産生されることがあるが正常のilet cellには認められない。 |Cell type|CENTER:%|産生ホルモン|ラ氏島での分布|CENTER:免疫染色図| |α細胞|15-20%|Glucagon|ラ氏島の辺縁部に多い傾向|#ref(Glucagon01.jpg,,20%)| |β細胞|60-70%|Insulin|ラ氏島の中心部に多い|#ref(Insulin02.jpg,,20%)| |δ細胞|5-10%|Somatostatin|ラ氏島辺縁部に多い傾向|#ref(somatostatin02.jpg,,20%)| &color(#0000ff){''Insulin インスリン''};~ インスリンは血糖調節において中心的な役割をはたす。 -細胞内部に存在するグルコース輸送体(GLUT4)の細胞膜への移行を促し脂肪組織や筋肉おけるグルコースの取り込みを高め, 血糖はすみやかに低下する。 -肝臓のグルコース取り込みには直接影響しないが, 解糖, グリコーゲン合成, 糖新生を制御する酵素に対抗する影響を介して長期的なグルコースの取り込みを亢進する。 &color(#228b22){''Glucagon グルカゴン''};~ ラ氏島のα細胞で作られ, その分泌は低血糖により促進される. -glucagonはホスホリラーゼを活性化することでグリコーゲン分解を促進する。エピネフリンとは異なり, 筋ホスホリラーゼには影響を与えない(筋細胞自身がglucagonに応答しない). -glucagonはアミノ酸や乳酸からの糖新生も促進する。 -glucagonのすべての作用はcAMPの産生を介して発揮される。 -肝のグリコーゲン分解と糖新生はインスリンに対抗するglucagonの高血糖作用に貢献する。 内在性glucagon, insulinのほとんどは肝を通過するとき血中から除去される。 &color(#228b22){■};ilet cellの免疫染色 ilet cellは各々分泌するホルモン以外の免疫染色では''chromograninA'', ''synaptophysin'', ''CD56'', ''CD99'', ''NSE''および''PDX-1''陽性となる。 -PDX-1(Pancreas duodenum homeobox 1):ホメオドメイン遺伝子によってコードされる転写因子でイン スリン、ソマトスタチンなどの膵臓遺伝子転写を促進し、膵臓ランゲルハンス島の機能維持に必要不可欠であ ると考えられている。PDX1は胚形成期において、内胚葉上皮から腸管上皮へと分化していく過程でも働く。 最近ではPDX-1が特にインスリン分泌に関与していることから、糖尿病治療に役立つのではないかと注目を集めている。((Entrez Gene: PDX1 pancreatic and duodenal homeobox 1))