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p16/INK4a--inhibitor of CDK4 family, CDNK2Agene

 
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p16/INK4a inhibitor of CDK4 family, CDK阻害タンパク質のひとつ.

CDK4に結合するタンパク質として1993年単離された*1148aa, 約16kDa. 別名; MTS1, CDK4I, CDKN2など

Rb遺伝子の存在する細胞に限って, p16/INK4aは細胞増殖停止能を有する.

CyclinD/CDK4,6によるRbのリン酸化ステップを阻害することで細胞増殖を阻害する因子である.(右図;細胞周期制御因子のシグナル伝達*2

次いでp15/INK4b(別名; MTS2, p14)がCDK4, 6に結合能がありp16と低い相同性をもつタンパク質として同定され,
さらにCDK4, 6に結合する, p18/INK4c, p19/INK4dが単離された.

アンキリンリピートと呼ばれる約30アミノ酸のモチーフをp16/INK4a, p15/INK4b, は4個, p18/INK4c, p19/INK4dは5個もつ.

ゲノム構造解析から4つのINK4遺伝子のエクソン, イントロンの境界はみな同じところにあり, 1つの先祖型から進化したものと考えられている.

ヒト染色体では, p16/INK4a, p15/INK4bは9p21に隣り合って存在し, p19/INK4dは, 19p13.2にマップされている.

 

CDKN2A遺伝子からはRb経路を抑制する調節因子のp16/INK4ap53経路を抑制的に制御するp19/ARFを産生し, 相互に関連したシグナル伝達経路は, 細胞周期休止やアポトーシス誘導により腫瘍抑制の中心となっている.

(p16とp19/ARFはCDKN2A遺伝子のexon2と3を共有するが, exon1が異なり転写される. 異なる読み枠からは全く違ったタンパク質に翻訳される.)--->ARF

p19/ARFはp53を分解する作用をもつMDM2(p53のユビキチンリガーゼ)タンパク質と結合してその機能を阻害することによりp53機能の正常化にかかわっている.

 
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細胞周期制御にかかわる重要ながん抑制遺伝子; RB1, CDKN2A, p21/CDKN1A

(右図*3;RB,TP53タンパク質によるG1-S期を中心とした細胞周期進行制御)

非増殖期正常細胞ではRbタンパク質は非リン酸化状態であり, 転写因子E2Fと複合体を形成しE2Fの転写活性を抑えている.

細胞増殖刺激(RTK-RAS経路)はcyclinD1発現を誘導する. CDK4(cyclin-dependent kinase4)- cyclinD1複合体が形成され, Rbのリン酸化を促進, RBタンパク質はリン酸化によりE2Fとの結合能を失う.

RB非結合となったE2Fタンパク質がDNAへ結合し, S期へ進むために必要な遺伝子群発現を誘導する

CDK4-cyclinD複合体はp21およびp27(図には記載していない)を抑制して, cyclinE-Cdk2複合体形成を促し, Rb不活性化を効果的にする p16/INK4aは, CDK4との相互作用を抑制的に調節している.

p16/INK4aの構造類似体であるp15/INK4b, p21/CDKN1A, p27/CDKN1B, p57/CDKN1cもそれぞれサイクリン依存性キナーゼ阻害タンパク質をコードし, 細胞周期進行を負に制御して, いくつかの腫瘍でがん抑制遺伝子として作用する.

p21/CDKN1Aタンパク質はサイクリンとCDK2, CDK4との複合体形成を阻害している. その発現はp53により誘導され, 細胞にさまざまなストレスが加わったとき, p53依存性にG1期で細胞周期を停止させる機能をもつ(右図)

p21/CDKN1AはDNAポリメラーゼ修飾因子であるPCNAと結合し, S期のDNA複製やDNA修復にも係わっている.

p15/INK4bp16/INK4a遺伝子と近接して9p21に存在するため, 種々のがんでヘテロ結合性の消失やホモ欠失によりp16/INK4a遺伝子といっしょに不活化する例が多い.

 

尿路上皮がんとp16

尿路上皮がんの全ての悪性度(grade)や病期(stage)において,50%以上に9番染色体のLOHが認められ, その多くはホモログの完全な喪失を伴う.

9p21の重要領域および,少なくとも3ヶ所の9qの領域(9q22, 9q32-33, 9q34)が同定されている.

9q21上には, CDKN2ACDKN2Bが候補遺伝子として挙げられる.

9q22にはPTCH(Gorlin症候群遺伝子), 9q32-33上にはDBC1, 9q34上にはTSC1(tuberous sclerosis syndrome1)が候補遺伝子と考えられている.

尿路上皮がんにおけるCDKN2A(9p21)領域の不活性化は, ホモ接合性欠失(homozygous deletion)により通常引き起こされる.

9p21の欠失と臨床パラメータとの関連には相反する報告があるが, 病期の進行した高悪性度尿路上皮がんとは関連が認められている.*4

9p21のコピー数減少は尿路上皮がんの約45%に認められ, ノックアウトマウスやin vitroの実験で示唆された結果と一致している.

p16とp14/ARFはハプロ不全かもしれない.

ハプロ不全:*5

  • 姉妹染色体同士(接合体のもつ一対の遺伝子)のうち一方に変異が起っても, ほとんどの遺伝子では, 通常はもう一方の残った野生型遺伝子からつくられるタンパク質によって不足分を補われることになる.
     
  • しかし,Notch,Deltaなどの少数の遺伝子においては,野生型遺伝子1つ(ハプロイド)からつくられるタンパク質では量が不足するため, 突然変異と野生型遺伝子のヘテロ接合体で優性の表現型(機能が不全)がみられる.このような現象をハプロ不全と呼ぶ.
     
  • ハプロ不全ではタンパク質の不足・機能不全でも優性遺伝として伝わることになる(通常は劣性として伝わる)。ハプロ不全遺伝子は, 優性遺伝子となる.
  • 通常の優性遺伝ではタンパク質の積極的な異常な振る舞いが異常発現の要因になる[dominant-negative(優性阻害)]が、ハプロ不全突然変異の遺伝子産物が, 正常遺伝子の産物の機能を阻害することはない.

*1  Serrano M,et al. A new regulatory motif in cell-cycle control causing specific inhibition of cyclin D/CDK4. Nature. 1993 Dec 16;366(6456):704-7.
*2  シグナル伝達
*3  村上善則 細胞周期, 細胞接着にかかわるがん抑制遺伝子. がん生物学イラストレイテッド 羊土社 2013; p113-118
*4  Chapman EJ, et al. Comprehensive analysis of CDKN2A status in microdissected urothelial cell carcinoma reveals potential haploinsufficiency, a high frequency of homozygous co-deletion and associations with clinical phenotype. Clin Cancer Res. 2005 Aug 15;11(16):5740-7.
*5  実験医学 2013年10月号 Vol.31 No.16 特集「フレミングが夢見た染色体の核心」, 実験医学増刊 Vol.33 No.20 特集「ノンコーディングRNAテキストブック」, 実験医学 2016年2月号 Vol.34 No.3 特集「発見から100余年 Notchシグナルの新世紀」

添付ファイル: filep16-p19-Rb-p53.jpg 12件 [詳細] filecellcycle-signal.jpg 11件 [詳細]

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Last-modified: 2019-03-09 (土) 09:07:38 (15d)